#7.鋼の体
#7.鋼の体
(どうしよう……?)
相手は皆、大胸筋や上腕二頭筋が服の上から見ても盛り上がっていて、明らかに屈強な男たちだった。
数は五人……いや、六人だ。
剣や斧、銃だって持っている。
いつも無抵抗にいじめられていた非力な俺が抵抗するなんて無駄だろう。
そんな状況なのに俺は意外に落ち着いていたが、もしかして天国に来て早々、天国に死ぬという概念があるかどうかは分からないが、また死ぬのだろうか?
そしたらどうなるのだろう?
まさか今度は、地獄に行くのだろうか?
俺は詰め寄って来た一人に背中にナイフを突きつけられて、連中の輪の中央に連れていかれる。
「どうします? こいつ?」
すると一番体のでかい奴が、その態度からグループのリーダーと思われる奴に指示を仰ぐ。
「変わった服を着ているが……金目の物は持ってなさそうだな? 好きにしな?」
敵のリーダーがハイエナが弱った獲物を見る時の様な冷たい顔をすると、でかい奴はその答えを待っていたかの様にブサイクな笑みを見せ、汚い舌でナイフをなめた。
「じゃあ、遠慮なく――」
そしてなんの躊躇もする事なく、俺の背中を一突きしたのだ。
ガキンッ!
「え?」
だがなぜかナイフは、俺の体を刺したと思ったら、根元から真っ二つに折れた。
「な、何だ?」
余裕を見せていたリーダーの顔が少し曇る。
「な、何しやがった? まま、まさか魔法?」
そうでかい奴が言うと、その周りにいた他の四人も慌てて武器を構えるが、リーダーがそれを左手で制止する。
「俺がやる」
するとリーダーは懐からサブマシンガンの様な銃を取り出す。
そこから激しい炎が吹き出し、俺を覆った時は、腰を抜かすかと思ったが、その炎が熱くも冷たくもなかった時、「もしかしてこいつら……弱い?」と俺は思い始めていた。