#ランクAのクエスト
#ランクAのクエスト
「その人なら確かに四時間前にランクAのクエストの報酬を渡しましたよ」
冒険者ギルドの受付の人が何も悪びれた様子もなく、言う。
それは当然なのだが、俺たちは、愕然とした。
「やられた……」
偶然達成したランクAのクエストの報酬、三百二十万エンドを俺たちは、フニャールに全てねこばばされたのだ。
「報酬を受け取った人がどこに行ったか知りませんか?」
「さぁ? でも、確か、家に急がなきゃって言ってましたよ?」
きっとそれは、フニャールの家の事だと思うが、俺たちは、フニャールの家の場所を知らない。
これでは、偶然町で出逢ったりしなければ、まさにお手上げである。
すると野太い声が俺たちを呼ぶ。
「フニャールの家なら俺が知ってるぜ?」
Cクラスのガルダーだ。
「本当か!」
「ああ、但し、一割だがな?」
「え?」
「謝礼金の話さ」
つまり、三十二万エンド。
さすがにそんな大金リースも持ち歩いていない。
「金をとる気か……?」
「そりゃーそうさ? 只より高い物はないからな? まぁ、勇者さんたちにとったら安い謝礼金だと思うが……気が変わったら声を掛けてくれ?」
そう言うと、ガルダーはその場を後にする。
「クソ!」
俺は、報酬何てどうでもよかった。
ただ、ランクAのクエストを達成したとなれば、リースの評価は上がるし、リースの待遇も変わる。
それは今後の冒険に大きく関わってくると思うのだが、きっと今頃、フニャールは、そのランクAのクエストをクリアした勲章を金に換えている頃だろう。
「……アタシが見つけてあげようか?」
「え?」
その時、俺たちに救いの声を掛けてきたのはあのアリサだった。




