#本
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一冊目は、絵本だった。
「何々……昔々ある所に神様がいました。神様は暇だったので最初の人間、アダムとイヴを作りましたが、アダムは力を、イヴは知恵を持っていました。それはこの世界を一から創造するほどの能力でしたが、神様はその力を使う事を禁止していました。そんなある日、神様は違う星に出かける事になったのです。それは、とてつもなく長い期間でした。それにしびれを切らしたアダムとイヴは、こっそり自分たちの分身を生み出したのです」
二冊目は、コンピュータ・グラフィックス集の様な本だった。
そこには、太古の昔に生きていたであろう生き物のイメージした画像が載っていた。
三冊目は、古代書だった。
それがこの前、ヒューストが言っていた本だと思うが、その中には、人間が想像したブラックドラゴンの生態、スキルを持っていたのではないかという推測、ブラックドラゴンの紋章の絵が載っていたが、難しすぎて、気が付くと俺は、うたた寝していた。
「俊彦!」
それから少しして、リースが俺に声を掛けるが、時間はもう午後三時を過ぎていた。
「……リース? ……フニャールはもう来たか?」
俺は、目をこすりながら口を開く。
「それがまだなの……。何かあったのかな?」
ここから冒険者ギルドまで十五分で行ける。
今日、フニャールがリースの家を出たのが午前十時。
リースの家から冒険者ギルドまで二十分……。
「まさか……」
俺たちは嫌な予感がよぎったので、すぐに本を戻すと、冒険者ギルドに急いだ。




