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#そうじゃない……
#そうじゃない……
「す、凄い……!? 力が溢れてくる……!? こんなの初めてだ……!? これは金虫は金虫でも黄金虫の輝き……!?」
俺が目を疑うくらい、みるみるフニャールの体の傷が癒えていく。
これが数倍の生命力なのだろうか?
いや、それ以上だ。
「これなら負けない!」
フニャールはそう立ち上がると、一歩で大樹との間合いを詰め、正拳突き一発で、その大樹を真っ二つにした。
大樹があっさり音を立てて崩れていく……。
気が付くと、空は明るくなっていた。
俺たちは、ギリギリ間に合ったのだ。
大樹に捕まっていた冒険者たちもみんな辛うじて生きている。
「今度こそ応援を呼べるよな……?」
俺は、フニャールの側でしりもちをついて言う。
「ただじゃないからな……」
だが、フニャールはよく分からない事を口にする。
「え? ……ああ、きっと冒険者ギルドがたっぷり報酬をくれるよ」
「そうじゃない……」
「???」
「大丈夫だった?」
そこにツタに悪戦苦闘していたリースが駆け寄る。
「なんとかな」
とりあえず俺たちは、リースが魔法で連絡した応援を待つ事にした。




