#頼み
#頼み
「きゃああああああああ」
フニャールが体にかかった強酸性の樹液の激痛で声を上げる。
「フニャール!」
俺は、咄嗟に、ツタをぶった切りながら、フニャールに駆け寄る。
そして、自分の体でフニャールを覆った。
それでも強酸性の樹液の雨は止まないが、頑丈な俺の体には効かない。
そのまま俺は、剣の持ってない左手でフニャールを強酸性の樹液の外に引きずりだす。
フニャールは、樹液を浴びた数か所が、激しい火傷の様になっていた。
早く手当てをしないと命に関わるかもしれない。
「ははっ……アタイとしたことがヘマした……ね」
しかし、こんな山の上では、ろくな手当てが出来ない事はフニャールも分かっていた。
「こんな所でアタイ……死にたくないよ……。こんな事なら……リースの家に行った時……金目の物を盗んで、とんずらすればよかった……」
「しっかりしろ! フニャール!」
「俊彦……?」
「何だ! フニャール!」
「あんたを男と見込んで……頼みがあるんだ……」
「え?」
「アタイの家に……アタイの金を……」
完全にフニャールは、戦意を失っている。
でも、どうすればいいんだ?
でも、どうしたらいいんだ?
その時、俺は、フニャールの言葉を思い出す。
『虫だからって馬鹿にするなよ? 虫だって凄いんだ! 人間で例えるなら、生命力だって、ジャンプ力だって、数倍になる!』
『それで私の場合は、興奮した時じゃないと使えないんだ』
その瞬間、俺は、フニャールの唇を強引に奪っていた。
「え!?」
フニャールが目を丸くするが、俺は、さらに舌を入れる。
「ちょ……」
するとフニャールは、抵抗する力が弱くなったと思ったら、突然、フニャールの全身が黄金の様に輝きだしたのだ。




