#47.冒険者ギルド
#47.冒険者ギルド
あれから一日が経った。
早速俺とリースは、勇者の責務を果たすために、ファルフの中央にある冒険者ギルドに昼から向かうが、そこはいかにも修羅場を潜り抜けてきたであろう派手な傷や、大きな武器を持った男たちで一杯だった。
とても異様な雰囲気に俺は足を踏み入れるのを躊躇するが、リースは何もためらう事無く侵入すると、その男たちが一斉に視線を向ける。
「何だ……子供か……脅かしやがって……」
「おい! 坊主! 何しに来た! ここはお子様の来るところじゃねーぜ!」
「そんな事言いなさんな? 可哀想だろ? お嬢ちゃん? こんな所で遊んでないで、お家でママのお手伝いでもしなさい?」
「あんな子供がクエストを受けに来るなんて、ここも質が落ちたな……」
「ただのバイトだろ? 相手にするなよ?」
「Cクラスの俺様がパーティーに入ってやろうか? 金さえもらえれば俺様は気にしねーぜ? ガハハハハ!」
どうやら俺たちは、かなりなめられている様だがそれも仕方ない。
俺たちは新米だ。
しかも子供だ。
顔も名前も知られていない。
なら馬鹿にされて当然である。
俺は馬鹿にされるのは慣れているが、リースはほっぺを大きく膨らませていた。
そんな中、ギルドの奥にあったクエスト掲示板を見つける。
「何々……西の森でゴブリンクイーンが繁殖している。ただちに討伐せよ。ランクB。六十七万エンド」
リースの話によると、ランクとはそのクエストの難易度で、エンドはこの異世界のお金の単位だそうだ。
俺も買い出しの時知ったのだが、この異世界には、上からお札、金貨、銀貨、銅貨とある様だ。
「何々……北東のファルフの川に、タイガーフィッシュが迷い込む。ただちに海に戻せ。ランクC。二十四万六千エンド。うーん……」
俺はざっくり掲示板を眺めたが、今の俺たちにどれが適正かは判断できなかった。
やはりランクCくらいからこなしていくのが上策なのだろうか?
「俊彦? そっちのじゃないわ?」
するとリースが意味不明な事を言う。
「そっちじゃない?」
よく分からないままリースの方に目をやると、驚く事にこの木の建物には似つかわしくない、タッチパネル対応の液晶モニターが輝いていたのだ。




