#45.勝者
#45.勝者
「それまで!」
様子をうかがっていたアルベールが試合を止める。
「ふん! 手こずらせやがって! 殺されなかっただけでもありがたく思え!」
「勝者、風間俊彦!」
「はぁ! どういう事だ!」
アルベールのジャッジに勇志が不服な顔をする。
「俊彦殿が参ったという前に勇志殿が負けを認めている。この勝負は俊彦殿の勝ちだ!」
当然の結果だ。
「やってられるか!」
だが勇志は、怒りながら決闘場を出て行く。
その後をシェリーが急いで追いかける。
白い仮面の男は気が付いたらいなくなっていた。
「大丈夫か? 俊彦?」
「ヒュースト……?」
「あんさんかっこよかったぜ?」
「はは、どこが……」
俺は頑張って笑ったが、その後意識を失い、治療室に運ばれた。
「さすが王宮の回復薬だな?」
ヒューストがジュースの様に拝借してきた回復薬を飲んでいるが、俺の傷も瞬く間に良くなった。
だが、俺の傷を見てくれた回復術師は、俺の回復力に驚いていて、いくら王宮の回復薬でも普通なら三日はかかってもおかしくないそうだ。
一体どんな体をしているんだと念入りに検査をしたが、やはりそれもブラックドラゴンの紋章が関係してるのだろうか?
今はもう紋章の痕はない。
「よかったー……治って……」
リースは涙を浮かべながら、笑みをこぼす。
「ああ」
俺はなんだか、心をくすぐるものを感じた。




