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#37.タイムリミット
#37.タイムリミット
「それで……どうやってあそこまで上るんや?」
「うーん……」
ヒューストが機嫌を損ねた様な顔をするが、それは俺にも分からなかった。
「ロープを使えないかしら?」
そこでリースが閃く。
『ロープ!』
俺とヒューストの声は重なったが、そう言えば鞄の中には、町で買ったロープがあった事を思い出す。
その長さは十二メートル。
上手くいけば穴から脱出できるかもしれない。
リースは鞄からロープを取り出し、その先にヒューストの槍を結ぶ。
「壊すなよ?」
ヒューストは心配そうな顔をしていたが、それを俺は勢いよく投げると、七回目でようやく外に引っかかる。
俺たちはそのロープを一生懸命上り、脱出したのだが、すでに外は明るかった。
今日は試験開始から二日目だ。
太陽が真上を目指している所を見ると、後一、二時間もしないうちにお昼になるだろう。
ここから王宮まで半日かかる。
それはつまり、かなり急がないと、タイムリミットの日没に間に合わない事を意味していた。




