#33.ブラックドラゴン
#33.ブラックドラゴン
「ガァァァァ!」
キマイラがタゲを図体のでかい俺に合わせる。
勇敢な事に獅子と山羊と蛇の頭で俺に噛みつくが、その程度じゃ俺の鋼の様な体は貫けない。
そのまま俺はキマイラを壁までぶちかます。
「ギャァァァァ!」
するとキマイラはあっさり牙を放したのだが、それでもめげず、今度は蛇の頭が火を吐くが、それも俺には通用しない。
その後俺は、キマイラの蛇の頭を鋭利な牙で食いちぎった。
獅子の顔を両手の鷹の様な爪で切り裂き、今度は胴にかぶりつく。
キマイラが大量の血を振りまくが、天災の様な激しい戦いは数分も続いた。
それをヒューストとその隙に回復魔法で自分を治療しているリースは見守る事しか出来ない。
なぜなら俺たちが来た道はその戦いで、二人が脱出する前に壁が崩れ塞がれてしまったからだ。
「グギャァァァァァァァァー……!」
そして、とうとうキマイラが大きな咆哮と共に絶命するが、俺はそれでも我を忘れたままだった。
リースやヒューストの事を判別できないほど……。
グチャグチャグチョ。
「な、何してるの?」
リースは右腕を押さえながら震えていた。
「食ってやがる……」
ヒューストもその光景に鳥肌が止まらない。
だが次の瞬間、キマイラをめちゃくちゃにしていた俺の視界にリースが入る。
「もうやめて……よ? と、としひ……こ?」
まだ右腕が完治しきっていないリースに向かって俺は、容赦なく口から炎を吐いたのだ。




