表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/141

#31.悪くない……

#31.悪くない……


「避けてー!」


だがリースは、必死に届かない手を勇志に差し伸べていた。

それが俺の視界に入った刹那、俺はまだ誤魔化していたかった自分のあまりにも醜い本性にハッとする。


(ザワザワザワ――)


それは、俺が今まで必死に正当化してきたものをあっさり笑った。

勇志に斧が当たる!?

そう思った次の瞬間、ミノタウロスはやはり急所に当たっていたのか、そのまま崩れる様に倒れたのだ。


「この女? 何言ってるんだ?」


その様子に勇志は後ろを振り向くが、そこにはもう立ち上がっていたミノタウロスはいない。

なのに俺は異常なくらい震えていた。


「何震えてるんだ? ゴミ拾い? さっさとそこをどけよ?」

「悪くない……」

「何だコイツ?」


勇志が俺を冷めた目で見る。


「勇志様? そろそろ行きましょう?」


シェリーは俺の存在を完全に無視していた。


「そうだな? あんまり遊んでいると間に合わなくなるかもしれないからな? じゃ、ゴミ拾い? カスがいくら集まったってカスだと思うがせいぜい頑張ってくれ? アハハハハ!」


高笑いしながら勇志とシェリーは俺たちが来た道を戻って行った。


「よかったー」


そんな中、リースが安堵するが、俺はまだ震えを止められないでいた。


「どうしたの? 俊彦?」

「何お前が震えてんねん? それより先を急がんと間におうなるかもしれんぞ?」

「俺は……悪くない……」


勇志が派手に暴れたため、俺たちは魔物に遭遇する事なくさらに奥に進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ