表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/141

#30.奥底

#30.奥底


「まさかグランドセイバーのスキルを使いこなす奴がおるとはな……」


俺の横でヒューストがぼそりと呟く。


「グランドセイバー?」


それを俺は聞き逃さなかった。


「火、水、風の魔法が同時にかかった魔法剣や? その威力は、オリハルコンさえゼリーの様にぶった切るっていう話や?」

「……」

「その上噂だと、アイツはもう一つスキルを持っているって話やないかい? 怪物やな?」


俺は執事見習い。

それに対して勇志は三百年に一人の存在。

一体この違いは何なんだ?

誰が決めたというのか?

たまたまか?

たまたまでこんな悔しい思いをしてるのか?

俺は、爪が手の平に食い込むほど強く拳を握りしめる。

俺は俺として生まれただけで、すでに大抵の人に敗北しているのだ。



(勝ちたい……)



それがどんなに情けない想いか分かっていても、そう何かにすがらないと生きているのが辛いのだ。


「ゴミ拾い? もうこの近くに勇者の証はないみたいだぞ? こんなに要らないだろうが、俺はもう四つも手に入れたぜ? 一個やろうか? ……なんてな? ハハハハハハ!」


カタン。


その時、勇志の後ろで、急所を免れたミノタウロスが静かに立ち上がる。

勇志は気づかず笑っていた。

まるで学校で俺の気持ちに気づかず笑っていた時の様に。

そのままミノタウロスは勇志に向かって重そうな大きな斧を振り下ろす。

その瞬間、俺の心の奥底に一生懸命誰にも悟られない様に隠していた本性が、はっきり顔をのぞかせる。


(ザワザワザワ――)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ