表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/141

#29.差

#29.差


大鳥は馬の様に速かった。

それに乗って試しの洞窟まで来たのだが、それでももう夜が明ける。

地平線の向こうの朝日が顔を出し、徐々に洞窟の入り口をあらわにしていく。

当然中は薄暗かったが、リースの魔法で足元を照らし、俺たちは勇気を出して足を踏み入れた。

壁も地面もゴツゴツしていて、恐る恐る思ったより広い洞窟を進んでいると、説明の時見かけた威勢の良かった候補者が何人も途中で倒れていたが、一体ここで何があったのだろう?

もうかなり進んだというのになぜかまだ魔物の姿はない。


「食らえ! グランドセイバー!」


するとさらに奥に進んだところで俺の知っている声がした。


「他の候補者はこんなのに手こずってるのか? 大した事ないな?」


それはやはり勇志だったが、勇志はゴブリンよりかなり強力なミノタウロスを紙の様にぶった切っていた。

俺たちが駆け寄る。


「遅かったじゃねぇ―か? ゴミ拾い?」


勇志はまだ余裕があるのか、俺に声を掛けながら、ミノタウロスの胸に剣を突き立て、止めを刺す。

周りにはミノタウロスの死骸がちらほらしているが、どうやら全て勇志が倒した様だ。

先ほどの候補者たちはきっとそのミノタウロスにやられたのだろう。

だが、勇志は怖くないのだろうか?

俺は盗賊に襲われた時も、ゴブリンに襲われた時も、体が石になった様に動けなかった。

今まで命のやり取りなんて経験がなかったからだが、それは当然勇志も同じだろう?

なのに勇志は慣れた様にミノタウロスをコテンパンにしている。

同じ人間なのになんでここまで差があるのだろう?

これが生まれ持った能力の差なのだろうか?


「勇志様? これが勇者の証みたいですね?」


歩み寄るシェリーの手には、大きめのルビーの様な石が輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ