#26.古代種
#26.古代種
「そんな事していいのか?」
「かまへん、かまへん。俺たち以外もみんなやってるぞ? アルベールも勇者の称号を与えるのは一人とは言ってなかったやろ?」
「そう言えば……」
「試しの洞窟には、魔物が出る。だから、使える手は猫の手だって借りたいんや?」
そうか、地図の試しの洞窟の横に描かれていた顔のマークは、魔物が出る事を意味してたんだ。
「どんな魔物が出るんだ?」
「ゴブリンやオーク、もしかしたらミノタウロスやろうな? ワイの持っている古い古代書によると、遥か昔には、古代種も繁殖してたらしいぜ?」
「古代種?」
「ドラゴンや……」
「ドラゴンッ!?」
俺は驚いて声が出た。
「遥か昔の話や。ワイはこう見えても博識なんやで? まぁ、だけど今はそんな化け物、あっちの世界にしかおらんやろうな?」
「あっちの世界?」
「何やそんな事も知らんのかい?」
「ああ」
「魔界よ」
リースが口を挟む。
「そう! 魔界や! 今、こっちの世界とあっちの世界は繋がってない。だから真実の日が来る前に各国はなりふり構わず勇者を集めてるんや」
「そうなんだ……」
俺はとりあえず、ウェイトレスに運ばれて来た黒くて甘い飲み物を一口飲む。
「それで返事は?」
「リースどうする?」
俺は人を極力信用しない様にしている。
だから当然ヒューストの事も信じてないが、それはリースが判断するべきだ。
「俊彦がいいなら……」
「うーん……」
そう言われても……。
「なら決まりやな!」
「はぁっ?」
「二人ともどうしても嫌って訳やないんやろ? なら決まりやがな?」
ヒューストはそう言うと、半ば強引にパーティー入りする。
まぁ、俺たち二人だけだと、強力な魔物が出たら心配だから、ヒューストを仲間にするのは仕方ない。
万が一勇者の証が一つしか見つからなかったらその時はその時だな……。




