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#23.この世界

#23.この世界


「……知らない! ……俺も気が付いたらこの異世界にいたんだ!」

「嘘つくな! そんな言葉信じれるか! 嘘つくならまた痛い目を見せてやろうか!」


勇志が俺に馬乗りになり、俺の胸ぐらを両手でつかむが、俺はあまりに困惑していて、上手く抵抗できない。

周りの人間は、いきなりの事に戸惑っている者や、面白がって高みの見物を決めている者もいるが、体を張って止める者はいなかった。


「お止めください!」


そこに女性の大きな声が響く。

声の主が俺たちの所にゆっくり歩み寄ったと思ったら、主は勇志に優雅に手を差し伸べる。

が、勇志は頑なにその手を掴まない。


「止めるな! シェリー! 俺は、コイツが大っ嫌いなんだ!」

「そうはいきません! 勇志様! みなが見てます!」


勇志の乱暴な手が急に止まる。


「あなたはこの国の勇者になる男ですよ! それなのにそんな姿を民に見せてもいいのですか?」

「クソ……」


勇志は勢いよく俺の胸ぐらから手を放す。


「まぁいい……。それよりもまさかお前も勇者候補に選ばれたんじゃないだろうな?」

「お、俺は、サポートだよ……」


俺はとにかく視線をそらす。


「アハハハハ! まぁ、そうだよな! お前みたいなカスが! 勇者になんてなれる訳ないよな!」


勇志は異世界に来ても相変わらずだった。


「でも、俺は違うぜ? 三百年に一度現れるか現れないかの伝説の人間なんだ? この世界は最高さ! みんな俺の言う事を何でも聞いてくれるからな! 金、地位、名誉、全て思いのままさ! それに比べ元の世界じゃ、俺も受験で、大した人生を送れなかっただろうからな……? もしお前のおかげでこの世界に選ばれたのなら俺は、お前に感謝するぜ! アハハハハ!」

「勇志様、そろそろエントリーが締め切られますよ?」

「そうか? まぁ俺は、この異世界で勇者として楽しく生きていくからせいぜいゴミ拾いは俺の邪魔にならない様にするんだな?」


そう悪態を平気でつくと、勇志とシェリーは颯爽と受付に向かった。

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