#18.突然のファースト……
#18.突然のファースト……
「あんたが俊彦?」
「え?」
俺は驚いた。
なんでアリサが俺の名前を知っているのだろう?
俺は、昨日の少年が叫んでいたのでアリサの名前を覚えているが、アリサはどこで俺の名前を知ったのだろうか?
もしかしてリースと知り合いで、そこから聞いたのだろうか?
いや、お金持ちのリースがこんなみすぼらしいアリサと知り合いの訳ない。
アリサの恐らく白のワンピースは黒く汚れていて、お世辞にも綺麗とは言えないが、態度だけは堂々としている。
「ねぇ、聞いてるの? あんたが俊彦?」
だが今は、そんな事どうでもいい。
「そうだけど……」
俺は嘘は付けなかった。
「やはり間違いないようね……」
すると次の瞬間、アリサはいきなり俺の顎を右手で引き寄せ、自分の顔を近づけた。
(エ……!?)
そして俺が抵抗する間もなく、俺の唇を奪ったのだ。
「プハッ! い、いきなり! 何するんだ!」
俺は、慌てて両手でアリサを引き離す。
「フフフ」
「何が可笑しい!」
だがアリサは、なぜか笑っていた。
俺は突然の俺のファーストキスにパニックである。
「これで契約は完了よ……」
「どういう意――」
「俊彦!」
その時、リースの声が表から聞こえる。
俺が振り返るとリースはどうやら買い物を終えたみたいだが、俺が視線を戻すとすでにそこにはアリサの姿はなかった。
(一体……何だったんだ?)
まだ唇にその柔らかい感触が残っているが、俺は訳も分からずリースのところに戻った。
ブックマークありがとうございます。
やる気が出ます。
これからも頑張って出来る限り、更新していこうと思うので、
末永くよろしくお願いします。




