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#16.サポート
#16.サポート
「いつですか?」
フレリアは夕食後の香りが高い紅茶を飲んでから口を開く。
「一週間後です」
それにリースが少し緊張した面持ちで答えると、フレリアはとても優しい笑みを見せた。
「きっとあなたの素行が良かったんです。頑張るんですよ」
「はい!」
「俊彦! 俊彦はいますか?」
そして、俺の名前が呼ばれる。
「何ですか?」
俺はすぐに駆け寄る。
「あなたもついていきなさい」
「はぁい?」
「勇者の試験ですよ」
「はぁー……」
「勇者の試験は、誰でも一人サポートを付けていい事になっています。あなたはとても強いそうですからね?」
「でも……」
「何か気になる事でもあるのですか?」
「はい……」
「何ですか?」
「そんな大役俺に務まるかと……?」
「大丈夫ですよ。サポートと言っても荷物を運んだりするだけですからね?」
「そうですか。なら……」
「よかった。付き添ってくれるのですね。なら明日、リースと一緒に装備を整えるために町に行きなさい」
「分かりました」
「よろしくね」
するとリースは最高の笑顔を作るが、それを俺は正直笑顔で返せなかった。




