#喫茶店と老人
#喫茶店と老人
俺たちは、近くの喫茶店に入っていく。
その喫茶店は、大通りの脇の道にある屋根の真っ赤な凄くレトロな感じの店だった。
俺たち三人が入ると、扉の鐘が鳴るが、中にいた二、三人の客は、本を読んでいたり、新聞を見てたりで、こちらに目を向ける事はない。
場所は、入ってすぐの窓際の席だった。
そこにメイドの格好をした店員が案内するが、バイトなのだろうか?
年齢は高校生くらいだ。
店員は、注文する時に呼ぶ仕様で、ボタンを渡されたが、そんな所は、日本とあまり変わらない気がする。
「で、俺に何の用ですか?」
早速俺は、注文する。
「勇者になりませんか?」
その言葉に俺は、一瞬思考が止まるが、その老人の意味深な表情を見る限り、他にも目的があるのは間違いない。
とりあえず、その目的を聞き出して、話はそれからである。
「実は、俺、グライズ王国の勇者のパーティーなんです」
でも、少しうれしかった。
口角が少し緩むほど。
だから思わず、その老人に正直になってしまったのかもしれない。
「それでも構いません! あなた様の実力なら間違いなく勇者になれます!」
だが、その老人の顔は、滑り止めさえ落ちて、後がない受験生の様な顔だった。
「何でそこまで俺に勇者を勧めるんですか?」
「それは、私の孫のせいです……」
すると老人は、いきなりポロポロと涙をこぼし始めたが、それがさらに老人が追い詰められている事を如実に語る。
「孫?」
「私の孫は、親ばかだと言われてしまうかもしれませんが、器量が良く、性格の優しい子です。ですが、つい最近、原因不明の病にかかってしまったのです。それでそれを治すには時の花が必要なんです。でも、今、時の花は採る事が禁止されているのです」
「それと俺が勇者になる事とどう関係するんですか?」
「それは、バーミリオンの勇者になれば、王様に一つだけ、褒美を要求する権利が与えられるからです」
「へぇー。だから俺を勇者にして、時の花を手に入れようとしているって訳ですか? でも、それなら俺じゃなくてもいいんじゃないですか?」
「勿論、他の人にもお願いしてますが、今回の試験官は、烈風のヴェルデ様なんです」
「烈風のヴェルデ?」
「バーミリオン三銃士の一人だ」
静かに聞いていたリベが口を挟むが、窓の外は、雲行きが怪しくなっていた。
「そのヴェルデ様は、変わり者だと有名です。きっと試験も難しくなるでしょう。だから一人でも強い冒険者が必要なんです。リベレラル様を倒したならその資質は十分です。もし時の花を手に入れて頂けたら一千万エンド差し上げます、だから協力して頂けないでしょうか?」
「……ちょっと考えてもいいですか?」
それは、とても大きな話だったが、俺は、俺一人では決められなかった。
諸事情により、お休みします。。。
もっと腕を磨いて必ず戻ってまいります。。。




