#奇跡
#奇跡
ドゴ!
「クリーンヒット! ダウン!」
俺は、大剣で思いっきり吹き飛ばされたが、すぐに目に入った砂を取り除こうとする。
しかし、ドューダは、そんなの待ってくれない。
ガンゴン!
「ヒット! クリーンヒット!」
困惑してるうちに、続けて攻撃を受けてしまう。
落ち着け!
このままだとリベレラルと戦う前に負けてしまうかもしれない。
持ち点は、残り二点だ。
「何がリベレラルに挑戦するだよ? おめぇはこれでしめーだよ!」
俺は、その瞬間、目をつぶった。
それは、集中したかったからだ。
ドューダの大剣は重い。
きっと縦に振ってくるだろう。
その時、風が吹いた。
ガキン!
それを読んで全力で頭をガードした。
それは賭けだったが、俺は、賭けに勝ったのだ。
重い。
でも、あとはこっちの間合いである。
ようやく視界も戻ってきた。
そのまま大剣を退き、俺は、面を一本取る。
「うわぁぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉ!」
そして、俺は、ドューダと交差したと思ったら、流れる様に二連撃とダウンを取り、ドューダを倒したのだ。
「このドューダ様がこんな小僧に負けるとは……な」
気が付くと決闘場に立っていたのは、俺とリベレラルだけになっていた。
黄金に輝くリベレラルが俺に剣を向ける。
リベレラルの持ち点は残り七点だ。
三人がかりで三点しか取れなかったのだ。
つまり、零点にするには、最低でもクリーンヒット二回、ダウン一回を取らなければいけない。
それに対し、俺は、クリーンヒットもダウンも与えられない。
状況は限りなく劣勢である。
やはり勝てないのか?
やはり俺は、どこまでいっても負け組なのか?
勇志と戦った時、勇志に勝った時、あれは本当に俺の勝ちだったのだろうか?
ただブラックドラゴンの紋章が凄かっただけの気がする。
だから俺は、本当の意味の勝利をまだ手に入れてないのだ。
結局人の一生も大きく分けると勝ち負けなのだ。
勝った人間は、何かを手に入れる。
負けた人間は、何かを失う。
見た目で劣り、金もなく、俺程度の才能なんてごろごろいる。
そんな世界で勝つってどういう事だろう?
そんな世界で人を負かすってどういう事だろう?
もしかしたらそこには、こんな色あせた俺の世界でも色鮮やかにする宝石が落ちてるのかもしれない。
なら……。
「来る!」
その俺の隙をリベレラルは見逃さなかった。
リベレラルの疾風の様な攻撃が俺を襲う。
ガン!
「クリーンヒット!」
俺が横に吹っ飛ばされたのを見て、審判があっさり二点のカウントを取る。
これで俺の持ち点は零点である。
終わったのだ。
もしここで全てを、自分の人生を、本当に諦めていたのなら……。
「いや、ヒット!」
だが、審判はカウントを変えた。
なぜなら俺は咄嗟に左腕でリベレラルの横からの攻撃をガードしていたからだ。
でも、これも所詮悪あがきかもしれない。
結局、神様はここまで俺に手伝わせておいて、また我慢しろと言うのだ。
「なら聞くがいつまで?」
凡人の俺が分かる事は、神様に期待しても神様は何もしてくれないって事だ。
それはすでに神様が奇跡を起こしているから。
例えば、こんな世界にいる奇跡。
ならこんな世界にいてイイっていう奇跡は自分で起こすしかない。
「ウォォォォ!」
俺は、一直線にリベレラルに突撃した。
ガキーン!
それは渾身の一撃だった。
「そこまで!」
すると審判は終わりの合図をする。
どうやら俺は負けた様だ。
俺の魂の一撃は、リベレラルの黄金の剣に受け止められたのだ。
「勝者風間俊彦!」
「え?」
だが、なぜか審判は俺の名を上げる。
その瞬間、リベレラルの剣は、根元からポッキリ折れたのだ。
それで戦闘不能と判断された様だが、それはラッキーだった。
いや、もしかしたら奇跡だと言っていいのかもしれない。
でも、それは最後まで諦めなかった奇跡という名の必然だった。




