#説明と鍵
#説明と鍵
気が付くと、夜になっていた。
「アタイたちどうなるのかね?」
フニャールのテンションはかなり低い。
「きっと縛り首ね」
アリサは、相変わらずだが、フニャールはそれを聞いて、背筋を凍らせる。
「う、嘘だろ? そうだ! 良い事思いついた! アリサのスキルがあるじゃないか! それで一旦、リースの家に戻ろう!」
「無理ね。この牢獄には、スキルが使えない強力な魔法陣が描かれているわ」
「そんなー」
フニャールは肩を落とす。
「俊彦?」
そんな中、リースは、俺の方を向く。
「……」
「俊彦がこの人間界の人間じゃないって本当なの?」
「ああ……。俺はこの世界の人間じゃない……」
「嘘……」
こんな事になるなら、もっと以前に説明しておくべきだった。
それで理解してもらえるとは到底、思えないけど……。
「俺は、異世界から来た人間なんだ……」
「それって魔界って事?」
「そうじゃない。こことは違うもう一つの世界さ」
「じゃあ、母親を探してるって言うのわ?」
「俺もよく分からないけど、もしかしたら母さんもこの世界に来てる可能性があったんだ」
「どうやって来たの?」
「さぁ? きっと魔法か何かだろう?」
「そう……。だから初めて会った時、何も分からなかったのね……?」
「信じてくれるのか……?」
「嘘なの?」
「いや、ただそんな突拍子もない話、普通の人間なら簡単に鵜呑みに出来ないだろ?」
「だって、こんな時に嘘ついても仕方ないでしょ?」
「それもそうだな……」
「それで他の人と違っていたのね……」
「え?」
カタ、コト、カタ。
そこに誰かが階段を下りてくる音がする。
「誰だ?」
「……ワイや」
それはヒューストだった。
「何しに来たんだよ?」
「……なんて顔するんや? せっかく助けに来たっていうのに?」
するとヒューストは、どこから手に入れたのか牢屋の鍵を懐から取り出したのだ。




