表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/141

#裏切り者

#裏切り者


「まさか……あのパトリオットがやられるとはな……」

国王が暗い顔になる横で、アルベールは凛とした顔をしていた。

「とりあえず今回の防衛見事じゃった。お前たちには、それ相応の報酬を与えよう」

それを聞いて、今回戦いに参加していた勇者たちの顔がほころぶが、その中には、俺たちもいた。

「だが、その前に……この中に魔の者に通じている者がいるという情報が入っておる」

「はぁ?」

「どういう事だ?」

すると玉座の間にいる勇者たちがざわつく。

「確か……俊彦と言ったな?」

「え?」

「そなた……なぜブラックドラゴンという幻の紋章がある事を予に隠してた?」

「それは――」

「いい訳はいい!」

俺が弁解しようとすると、それを国王が怒声で遮る。

「それは、予に知られると都合が悪いからじゃないのか?」

「違うわ! 俊彦はそんな人じゃない!」

「予が話してるのに口を挟むな!」

リースの叫びも、あっさり遮断される。

「それに今回の作戦は、そなたが考えたという話だが、それも我々を油断させるためのものだったんじゃないのか?」

「そ、そんなつもりは……」

「な、何言ってるんだ! おっさん! 俊彦がいなかったら今頃アタイたちは、みんなお陀仏だったかもしれないんだよ!」

「それがそもそもおかしいのだ!」

フニャールの援護射撃も国王には、届かない。

「なぜ、あんなものを食らって平気なのじゃ? なら最初からそなたが戦えば済む話だったんじゃないのか? そしたらパトリオットは死ななかったんじゃないのか? そこから導き出される結論は、お前が、魔の者と繋がっているという事だ!」

「違う! 俺は……!」

「それに俊彦殿は、決して人に懐かないムロの娘を連れているそうじゃないか? どうしてムロの娘はお前に従う?」

「ムロ! このおじさん嫌い!」

「黙れ!」

「……」

そんな中、アリサは黙っている。

「なら一つ聞く? 俊彦殿は、どこの生まれじゃ?」

「生まれ……? そ、それは……」

「やはり答えられぬか? それもそのはず、俊彦殿はこの人間界の人間じゃないそうだからな?」

「ま、まさか」

リースも驚いた顔をする。

「マジかよ?」

「それが本当なら大問題だな?」

「まさか俺たちの中に、裏切り者がいるとはな?」

「道理で今回は、魔物があんなにいた訳だ?」

他の者も冷たい視線を俺に向け始める。

やはりこの世界はクソだ。

必死に戦った仲間さえ、あっさり疑い、切り捨てるのだから。

でも、俺だって、ただ集まっただけの連中を信用してる訳じゃない。

きっと、この流れなら俺も同じ態度を取っただろう。

「どうします?」

アルベールが国王に伺う。

「そいつらを第一級反逆罪で、連れていけ!」

そして、俺たちは、国王の一言で、王宮の暗い地下の冷たい牢獄にぶち込まれたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ