#弟子
#弟子
「俊彦ぉぉぉぉ!」
リースの涙が俺の頬に零れる。
「リース重いよ」
俺は、なぜか地上で仰向けになっていた。
「だって、死んだかと思ったんだもん!」
「魔王は?」
「分からない。でも、もうここにはいないみたい」
「どうして俺は、生きてるの?」
「アタシが助けたんだよ」
それは、アリサだった。
「その姿は?」
アリサの背中には蝶々の羽の様な物が生えていた。
「アタシの紋章の力さ」
それは漫画に出てくるフェアリーだったが、どうやらアリサは俺と同じドラゴンになる訳じゃない様だ。
「そうか……俺は助かった……のか」
「何であんな無茶したの!」
だが、リースは泣いているのか怒っているのか分からなかった。
「ごめん」
「約束したでしょ! もうドラゴンにならないって!」
「でも、そんな事しか俺には出来ないから」
「もし俊彦が死んだらどうしようと思った」
「ふん! そんな事より俺様は次の真実の日が怖いよ!」
そこには勇志もいた。
「まぁ、俊彦が助かって何よりだが、勇志の言う事も一理ある。もしあの魔王がもう一度現れたらワイらだけじゃ手に負えんやろうな?」
勿論、ヒューストも。
「アタイたち、こんなんじゃ命がいくつあっても足りないよ!」
「いや、そんな事はないかもしれない」
「え?」
すると俺の言葉にフニャールは驚いた顔をする。
「パトリオットが最後に使ったスキル。それを魔王は地中に隠れる事で回避していた。つまり、それさえ直撃できれば、魔王もどうしようもないって事なんじゃないかな?」
「で、俺たちはそのスキルを見てないけど、どんなスキルなんだ?」
勇志が結論は出てる様な顔をする。
「分からない」
「だろ? ならどうしよもないじゃないか?」
「でも、パトリオットさんは、師匠の勇者のスキルって言ってた」
「勇者ねー。そんな凄い勇者、今回のパーティーにいたか?」
「それは……」
「もしかしたら今回は参加してないだけかもな? それとももうこの世にはいないか?」
「でも!」
「でも?」
「パトリオットさんの師匠って事は、その人に他にも弟子がいるかもしれないだろ? その弟子を見つけれれば、あるいは……?」
「ふーん。ならそいつらを探すのは、ゴミ拾いに任せるよ。俺様はもっとレベル上げをするわ。まだ死にたくないからな」
「ワイもや。今回の件で、いかにワイらが力不足なのか、痛いほど身に染みたわ」
そう言うと、勇志とヒューストはその場を後にする。
「とりあえず私たちも戻りましょ?」
リースは手を貸してくれた。
「俊彦! チョコパ食べよう!」
ムロは相変わらず元気だが、俺たちも一旦城に戻る事にした。




