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#12.お母様

#12.お母様


「リース? どうした?」


俺はそんなリースに面と向かわれて少し戸惑ったが、特にリースにおめかし以外変わった所はない。


「お母様に会ってくれませんか?」

「え?」


そう言われ、状況を理解できないまま俺はとにかくリビングに案内される。

そこにはリースの面影がある大人の女性が大きなソファに待っていた。


「俊彦さんと言いましたか?」


女性がゆっくり口を開く。


「はい……」

「私は、リースの母親のフレリア。この度は娘の危機に大変お世話になりました。そこでどうでしょう? 話によると俊彦さんは行く当てが無いそうじゃないですか? しばらくうちで働いて見ませんか?」

「……」


昨日俺は、なぜあの森にいたのか、身なりから十分に生活できる環境があるのか、家族はどうしているのかなど、色んな事を聞かれたが、とりあえずこの町の事も自分の事もよく分からなくて、これからどうしたらいいかも分からない事をなんとなくリースに話した。

そしたらリースは、明日一緒に考えましょうと、快く客室に泊めてくれたのだ。


「俊彦さん? 何も分からなくて戸惑うのも仕方ないかもしれませんが、そんなに生き急ぐ必要はないですよ?」

「……いいんですか?」

「?」

「俺の様な男を雇って……」

「そうですね。普通ならあり得ません。でも、私も馬鹿じゃないつもりです。俊彦さんの目を見れば悪い人じゃないのはわかります。ただ……」

「ただ?」

「いえ、きっと随分辛い目に遭ってきたんじゃないですか? それで人の好意を素直に受け入れられないんじゃないですか?」


確かに俺は人を信用していない。

人は見た目、財力、能力で人を判断する生き物だ。

なのにその何一つ持ってない俺に優しくする人間なんているはずがないからだ。

何か裏がある。

そう思って、今まで生きてきた。

でもなぜフレリアさんがそう思ったか知らないが、フレリアさんの瞳は、綺麗なブルーで見た目は全然違うが、なんとなく母に似ている気がした。


「……分かりました」


俺はとりあえずフレリアさんの言葉を飲んだふりをする。

仮に何かあったとしても、以前の生活よりひどくなることはないと考えたからだ。


「……ぜひお言葉に甘えさせてください」


そう言う訳で、俺はリースの家にご厄介になる事になったのだが、それを聞いてリースはとても嬉しそうな顔をした。

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