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#ありがとう!

#ありがとう!


俺たちが再び、駆け付けるとそこには、パトリオットさんの聖剣がポツリと地面に突き刺さっていた。

さすが最強の剣、インテリジェンスソード。

あの爆発でもその輝きを失っていない。

でも、そこにパトリオットさんの姿はなかった。

勿論、魔王の姿も……。

全て終わったのだ。

「終わったのね……」

リースが俺の肩に手をやる。

「ああ……」

「後は、残っている魔物をどうするかね?」

「そうだな……」

「全部終わったら、またみんなでデパートにでも行きましょ?」

「うん……」

「でも……凄かったね?」

「……」

「最後まで、臆す事無く、あの魔王に挑むなんて……。私には出来ないな……」

「俺もだよ……」

「だけど、パトリオットさんはあんな凄い魔王に決して負けてなかったよ!」

「確かに……」

「だから……そんな顔しないで?」

リースの優しい声が俺の心を揺らす。

しかし、俺は、どんな顔をすればいいか分からなかった。

今顔を上げたら、きっと、汚い顔をみんなに笑われるだろう。

でも、そんなみんなも何も口にせず、ただインテリジェンスソードを見つめている。

「そう言えば……、パトリオットさんは……、最後に何て言ってたの……?」

「それは――」

え?

だが、その瞬間、地面から手が飛び出し、俺の足を掴んだのだ。

「う、嘘だ……!?」

俺は慌ててその手を振り払うが、その手はすぐに地上に姿を現す。

「地中に隠れるのがあと一歩遅かったら危なかったの……」

「魔王!?」

みんなが一斉に声を重ねる。

それはやはり魔王だったが、魔王は、パトリオットさんが、俺たちを逃がすために作った一瞬で、地中に逃げる事に成功していたのだ。

俺は、咄嗟にインテリジェンスソードを手に取る。

「やはり十分の一の力のまま、人間界に来たのは失敗だったか……。それにそろそろ時間切れじゃの……」

「うわぁぁぁぁ!」

咄嗟に勇志が恐怖を振り払う様に剣を振るうが、それを魔王はあっさり右手で受け止める。

「クソたれ!」

その背後からヒューストも槍を突くが、それも魔王は左腕で挟む様に止めた。

「ちくしょー!」

さらに、黄金虫モードになったフニャールが上段蹴りを発動するが、それは、強引に一回転する事でかわされる。

「だが、最後にわらわからプレゼントをやろう……」

軽く蹴散らされた俺たちを目の前に魔王は徐々に空に上昇していく。

俺たちが呆然としている中、その高さは、あっという間にスカイツリー以上になった。

「グラヴィティコア!」

そして、その魔王のさらに上空に出現した黒い球体は、魔王が最初に水堀を吹き飛ばしたスキルだったが、その大きさはその数倍だ。

そんな物で攻撃されたら、この辺は跡形もなく消し飛ぶ事は、誰の目にも明らかである。

それがゆっくり地上に落ちてくる。

さすがのアリサもそんなに頻繁にそんな沢山、テレポートは使えない。

「終わりだ……」

そう誰かが呟いたが、それはきっと、数秒だっただろう。

だが、まるで自分の人生を振り返れるくらい長い時間でもあった。

アレを地上に落とさせる訳にはいかない……。

「リース……今までありがとう」

「え?」

その瞬間、俺は、笑顔を作ったのだ。

それは偽りの笑顔だっただろうか?

でも……。

そのままドラゴンの姿になった俺は、その球体に突っ込んだのだ。


『俊彦君! この前、何で私に命が懸けられるか聞いてきたね? その本当の理由を君たちに出逢えて、やっと分かった気がするよ! それは……』


それは……こんな私にも、この世界に大事な人がいるからだ。

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