#やったー!
#やったー!
「やったー!」
その瞬間、グラヴィティワールドが解除される。
体が軽くなった俺たちは、パトリオットの所に駆けよった。
「お、俺様のおかげだな!」
勇志は、足を捻ったみたいだが、そんな口が利けるなら大丈夫だろう。
「俊彦! チョコパ食べたい!」
当然、ムロも元気だ。
「やりおったな! 俊彦!」
ヒューストも相変わらずである。
「やったね!」
リースは満面の笑みだった。
「あんたならやると思ってたよ」
フニャールはすでに目が報酬になっている。
「まさかこんな使い方があるとはね……」
アリサは驚いていた。
「一時はどうなるかと思ったよ」
パトリオットも笑っていた。
太陽は真上にあり、その日差しは強く、優しいそよ風が俺たちを包む。
それは、なんだかまるで学校のテストが終わった時の様に清々しく、後は、五里霧中になった魔物たちを追い払うだけだが、なんて事はない。
誰もがそう思い、笑った。
もしかしたら俺ももっと笑っていいのかもしれないが、今は、みんなが笑顔ならそれでいい。
そう思えた……。
グチャリ!
「え……」
だが、次の瞬間、パトリオットの顔が曇る。
「そ……そんな馬鹿な……」
そのままパトリオットが吐血するが、その背後には体に大穴が空いた魔王が立っていたのだ。
「やはりグラヴィティワールドは、不便じゃの……。強力だが、他のスキルが使えん……。リボーン!!!!」
そう唱えると、みるみると魔王の体が復元していく。
グランドクロスで消し飛んだ右腕も、あっという間に再生された。
「な、なぜだ……? 確かに急所を貫いたはず……?」
「どうした? 人間よ? 絶望するのはまだ早いぞ? さぁ、第三ラウンドだ?」
俺も死ぬのは怖くない。
ただちょっと、このままだとやはり死ぬ事に納得できそうにない。
風は再び強くなりそうだった。




