#ナンノタメ
#ナンノタメ
――ナンノタメニイキル?
何のため?
――ナンノタメニタタカウ?
戦う?
――ナンノタメニドリョクスル?
そんなの分からないよ?
――ナラソレヲミツケロ?
何で?
――ソレガ……。
「シェリー! ゴミ拾いを起こせ! 死なれたら困るからな! ははははは!」
「はっ!」
そう言うと、シェリーは俺の所に駆け付け様とする。
「やっぱこうなったか!」
「もっと根性見せろよ!」
「だから私は、初めから期待してなかったんだ!」
「あいつ、ピクリとも動かないけど、まさか死んだんじゃないだろうな?」
「あーあ、もう終わりかー、つまんね……え?」
「な、何だ! な、何か様子がおかしいぞ!」
「あ、あれは? な、何の魔法だ?」
だが、突然、ヤジを飛ばしていた観客が騒めき出す。
「勇志様! まだ終わってません!」
そこでシェリーも止まった。
「はぁ?」
「ユウジ……ナンデ……オマエハイキテイル?」
そこには、半身だけドラゴンと化した俺が立っていたのだ。
「ご、ゴミ拾い……! な、何だ、その姿は……!」
勇志が困惑しながらも剣を構える。
「グ、グ、グランドセイバー!」
そのまま勇志は、勇敢な事に、その勇志にとって、最大の一撃を振るう。
バリバリバリ!
「や、やったか……?」
だが、今の俺にとって、それは蚊に刺された程度のダメージだった。
「そ、そんな馬鹿な……?」
それを目の当たりにした勇志は言葉を失う。
すでに戦意を失っていたが、次の瞬間、俺は、勇志に向かって、右腕を思いっきり振り抜いたのだ。
すると勇志のウィンドブレードより強力な突風が勇志を襲った。
「ガハッ!」
その破壊力は想像以上で、勇志は壁に叩きつけられる。
それでも勇志は逃げるために、立ち上がろうとしたが、すでに足は言う事を聞かなかった。
「ユウジ……ナンデ……オマエハタタカウ?」
そんな中、俺がゆっくりと近づく。
「ま、待て……! 俺の負けだ……! ムロは返す……!」
だが、俺の耳に、勇志の声は届かない。
「ユウジ……オレハ……ナンノタメニイキテイル?」
「た、助けて……くれ……」
そして、俺は、完全に参っている勇志に渾身の一撃を食らわせようとしたが、その瞬間、背後から誰かが俺を抱きしてめて、それを止めたのだ。
その時、俺は、なぜか泣いていた。




