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#勝つ方法

#勝つ方法


攻撃力のない俺が勝つ方法は、一つしかない。

勇志の武器を奪う事だ。

だが、それは勇志も分かっているだろう。

だから勇志は今回は距離を取ってきた。

「これが俺の新スキル、ウィンドブレードだ!」

それは飛ぶ斬撃だった。

威力は、グランドセイバーに劣るが、俺は、軽く吹き飛ばされる。

一撃で俺の銅の鎧は粉々だ。

「ぐはっ!」

だから嫌だったんだ。

「俊彦!」

みんなが心配した顔をしている。

「決まったか!」

「いいぞ! 勇志様!」

「止めだ!」

それでも周りの観客は、自分の正義を疑っていなかった。

それが戦争なのだろう。

俺たちは、この世界に生を受けた時から、戦う運命なのだ。

なら勝つしかない!

例えどんな手を使ったとしても!

もし、自分の正義を認めさせたいなら……。

だが、三、四発食らって、俺はあっさりその場に崩れる様に倒れたのだ。

母さん?

何で俺たちはこんなに惨めなんだろう?

何で俺たちはこんなに哀れなんだろう?

望んでも手の隙間から簡単にするりと落ちていく。

そんな人生だ。

俺たちは、誰かが俺たちがいる事で安心するための存在でしかないのだ。

きっとその誰かは俺たちに同情してくれるだろう。

それが俺の存在価値なのだろうか?

勇志がゆっくり止めを刺しに来る。

きっと勇志は、俺を殺す気だろう。

最初から勝ち負けなんて興味ないのだ。

ただ、自分の優位を確かめたかったのだ。

「それを人は正義っていてるだけなんじゃないか?」

勇志が俺の側に来た瞬間、俺は、素早く立ち上がり、足払いを仕掛ける。

俺は、やられたふりをしていただけだったが、勇志の弱点は、自分の方が格上だと思っている事だ。

自分の技が決まれば、必ず油断すると信じていた。

だから、その隙を狙ったのだ。

「え?」

だが、今回の勇志は違った。

俺の足払いを予期していたのか、難無くかわしたのだ。

「死ね!」

その時の勇志の顔を、俺は、今でも覚えている。

それは、俺が、生きるためにゴミを拾っていたのを見かけた時の顔だった。

まるで自分とは違う生き物を見る様な。

そのままグランドセイバーが俺の体を薙ぎ払った。

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