#パフェと紋章
#パフェと紋章
「リース? 何で宿を取ったんだ?」
俺たちは、宿を見つけた後、外で夕食を食べていた。
「きっとお城には、他の勇者や他の冒険者がいっぱいいると思うの? だからあまり休めないかと思って……」
「なるほどな」
当然、お城の中にも休む場所はある。
いや、むしろお城の方が食事は勿論、部屋も豪華だろう。
でも、リースは、自分のお金をかけてでも宿を取る事にしたのだが、俺は、今度のクエストの報酬が入ったらちゃんと返すつもりだ。
勿論、百万エンドも。
「俊彦? これなぁに?」
ムロが不思議そうな顔でチョコレートパフェとにらめっこしていた。
ここは、今若い女性に話題のレストランで、料理はバイキング形式なのだが、なんとパフェも取り放題なのだ。
「食べてみれば?」
流石のムロも、チョコレートパフェは、初めてな様で、恐る恐る口を近づけていた。
ペロリ。
そして、一口なめる。
「おぉぉぉぉ!」
すると雄たけびを上げていた。
「俊彦! これ美味い! デンジャラスだ!」
ムロが感動している所に、フニャールが戻ってくる。
「ああ! それはアタイのチョコレートパフェ!」
バイキング形式なのだから、もう一度取りに行けばいいだけなのだが、フニャールは大げさな顔をする。
「最後の一つだったのに! 返しな! それ以上食べたら許さないよ!」
フニャールが大林寺拳法の構えをするが、ムロも偉く気に入ったみたいでその手を放さない。
「これはムロの! フニャールはあっちに行け!」
実は、魔法の首輪のスイッチはこの町に来る前から切ってある。
だから、逃げる事も、逆らう事も出来るのだが、ムロはまだその事に気が付いていない様だ。
それにしてもムロの曖昧な記憶が気になる。
「ああー! また食べたー! アタイにもよこしな!」
フニャールとムロがチョコレートパフェを取り合うが、クリームが袖に着いたり、顔に着いたりして、それはしっちゃかめっちゃかだった。
「アリサ?」
そんな中、俺は、スープ麺を食べているアリサに声を掛ける。
「何だ? 俊彦?」
「これが終わったら、紋章について教えてほしいんだが……」
「分かった……」
そうこうしてるうちに俺たちは、食事を終えた。




