#犬派
#犬派
「もう悪さはしないからこの首輪を外してくれ!」
ムロが馬車の中で懇願する。
「まだ駄目だ!」
それを俺は、拒否した。
「な、何で?」
「ムロちゃん? 首輪をしてないと猫人族は、保健所に連れていかれることがあるの?」
リースも今、首輪を外すのは反対だった。
「ムロ、そんなドジしない!」
「ドジをしたから、首輪をつけてるんだろ?」
「それは俊彦のせい! ムロ悪くない!」
なぜ俺のせいになるのかは、不明だが、ムロは狭い馬車の中でハチャメチャだった。
「それよりムロ? 何であんな所にいたんだ?」
「それは、ムロも分からないの。ただ誰かを待っていた気がする。ずっと待っていたらお腹が空いたの」
「ふーん」
どういう事だろう?
「それでこの後、どうするんだ?」
そんな中、フニャールがめんどくさそうに言うが、きっと、フニャールは犬派なのだろう。
「ムロ、このお姉ちゃん嫌い」
「はぁ?」
「だって、ムロの嫌いな人間の目をするんだもん」
「別にアタイだって、あんたの事なんか好きでも何でもないよ」
「ウー」
ムロがフニャールを威嚇する。
「そんなの怖くないよー。殴れるものなら殴ってみな?」
「うぬぬぬ……。俊彦! 首輪外して!」
「うーん。どうしたものか……」
「俊彦、いまさら言うのも何なんだが、コイツを連れて、町は歩けないよ?」
「何で?」
「この国は、人間至上主義だからさ」
「人間至上主義?」
「つまり、人間以外に冷たいって事さ」
確かにパラの村の様子からするとその様だ。
「どうするの?」
リースが不安そうな顔をする。
「仕方ないアレを取ってこよう」
「アレ?」
そこで俺たちは、アリサに視線を集める。
「な、何?」
「アリサ! すまん! アレが必要なんだ! もう一度テレポートさせてくれ!」
「アレって何……?」
すると俺たちは、王都に着くと、早速、アレを取りにテレポートしたのだ。




