第2話 日本文化研究会
日文研の活動シンプル。週一『テーマ』ある。その『テーマ』を学ぶ。
例『和食』。まず和食の起源調べ。その調理。食べる、以上。
生徒会活動も素朴。学校行事全ての雑用。以上。
「今年度最初の『日文研』始めます。拍手!」
入学式が終わって三日後。
生徒会室。三谷加奈、俺。二年の岩崎詩織いる。部員少なすぎる。
「遠山君、どうしたの? そわそわして」
三谷さんが尋ねる。
「人数はこれだけ?」
素朴な質問。
岩崎さん、答える。
「そうなんです。実は生徒会のメンバーはまだいるのですが。ほかの部活と掛け持ちしている方ばかりでして……。仕方なく私だけが加奈先輩に付き合っているのです」
面倒身がいい後輩。
「岩崎さん、日文研好き?」
「もう岩崎さんなんてよしてください。詩織とよんでいただいて結構です」
「わかった」
「私も裕真先輩って呼びますね」
詩織は美少女。名前呼ばれて嬉しい。
「そしたら私も遠山君を裕真君って呼ぶ!」
三谷さんも名前を! 至福だ。
詩織が話を戻す。
「先輩、先ほどの質問についてお答えします。研究会は想像以上に楽しいです。加奈先輩はいつも親切にしてくださります。去年は華道や和食、歌舞伎など学びました。富士山にもいきましたよ」
手が込んでる。
「実践的だね」
三谷さん付け加える。
「知識として覚えるだけでは不十分だと私は思う。何事も実践あるのみ!」
彼女の熱血を感じた。
『体で学んで初めて、ものの価値がわかる』
うちの婆ちゃんの言葉。身にしみる。
「それでは日文研をはじます。今日は『日本文化』全般について説明します。ちなみに裕真君は『日本文化』について知っていることはある?」
「雑食文化って聞く」
うろ覚えの知識。
「そうね。昔の中国の文化をうまく取り入れ、明治の西洋化の勢いもその雑食性によるもの。なんでも自分たちに取り入れて昇華させてしまう。適応能力が凄いの」
三谷さんが身震い。
「でもね、私が思う一番の日本人の素晴らしさは、自然との調和だと思うの」
「と言うと?」
「『和をもって尊し』。つまり相手を思いやるということ。感謝の念を常に抱いている。『いただきます』や『ごちそうさま』がいい例だね。全てのものに感謝をする。素晴らしい文化、人間性だと断言できる!」
数十分の熱弁。
「よくわかりました!」
とても感動した。先人たちに感謝。
「チッチッチッ。甘いわよ、裕真君。体験してこそ日本文化の真の素晴らしさを感じ
ることができるんだから。詩織ちゃんもそう思うよね」
「そうですね。加奈先輩の雄弁には毎回感激します。しかし、もう少し話を抑えたほうがよろしいかと」
確かに長かった。でも聴く価値はある。
「そうよね。気をつける」
三谷さん反省。
「それでは、気を取り直して、今回の『テーマ』を発表します」
気合い満々三谷さん。しかし詩織が口挟む。
「待ってください、先輩。来週に控えた生徒総会のため『日文』の活動はこれで終わりです」
「「えっ」」
三谷さんびっくり。俺もびっくり。
三谷さんと詩織争う。
「ちょっと待ってよ、詩織ちゃん。せっかく盛り上がってきたのに」
「お言葉ですが、日文研の活動より生徒会の活動の方が優先です」
「ただの雑用じゃない。私たちどうせ裏方だから」
「私たちが動かないと全体が始まりません」
勝者、詩織。三谷さんがっくり。
「それなら、早く済ませましょう」
生徒会、雑用だけ。陰の活躍。
舞台設置。照明。司会進行、etc。
仕事教えて貰った。終わったの午後6時。疲れた。
「一通りできた。これで文句ないよね、詩織ちゃん」
「はい。ありがとうございました、先輩方」
詩織嬉しそう。三谷さん言った。
「これで日文研の活動をしてもいいよね?」
「はい。というか、先輩がこの学校の会長なんですよ。私としては、しっかり予定立てていただきたいです」
「予定なら立てている。明日は土曜日だから学校がお休み。よって日文研の今年度初めての校外活動やりまーす!」
三谷さん拳あげる。詩織も反応する。
「いいですね。何をしますか?」
「フフフ。詩織ちゃん、この時期にやることはただ一つしかないわ」
なにやるんだろう。
「今回のテーマは、『お花見』! 拍手!」
拍手。自分の手、叩いた。 三谷さんと遊べる。嬉しい。