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第1話 はじまり

 夕暮れ。一人ぼっちの教室。


 俺は遠山裕真とおやまゆうま。高校三年生。元地味キャラ。


 今呪いにかかってる。10文字しか話せん。でも、


「俺、リア充になる」


 拳握る。俺ならできる。


 高校最後。思い出つくりたい。青春したい!


「遠山君? そこでなにしてるの?」


 背筋が凍る。


 突然、後ろから声が。


 聞かれた? あたふたあたふた。


 生徒が教室に入る。俺の隣に来た。


「......遠山君だよね。僕は上田透うえだとおる。よろしく」


 上田透、手をだす。


 上田君、男用制服。俺、ほっとする。よかった。女子じゃなくて。


「よろしく、上田君。」 


 上田君の手を握る。


「上田君は女みたい」

「よく言われるよ。自分では意識してないんだけど、どうしてかな」


 透は美少年。女子よりかわいい。


「透って呼んでいい?」

「いいよ。そうしたら僕も裕真君って呼ぶね。友達だ」


 すんなり打ち解けた。会話弾む。





「それじゃあ、帰る」

「待ってよ、裕真君」


 透が俺を引き留めた。


「どうした?」

「裕真君の言葉聞いちゃったんだ。その......裕真君は彼女がほしいの?」


 う、聞かれてた。


「もしよければ......僕が裕真君の彼女になるよ」


 ......?


 同性に告られた?!


 ウブな俺、戸惑う。


 透が瞳を合わせる。


 身長俺のほうが高い。よって透の上目遣い。子猫みたい。


 教室が静かに。


 五秒見つめられた。すると透は目逸らす。笑顔で言った。


「なんてね、冗談だよ。僕は同性に恋はしない」


 どうやら告白は嘘。透はSだ。


「彼女、できるといいね。じゃあね」


 そう言って、透帰る。教室から出て行った。


 疲れが体に押し寄せた。おちょくられた。もう家帰る。






 次の日、休み時間。


 彼女に声をかけた。三谷さんだ。


 高校3年、三谷加奈。学校のアイドル。一目惚れ。


 初めての会話、緊張。でも楽しかった。


「遠山君は愛知県からきてるんだね。ちょっと言葉がなまってる」

「そうかな。不愉快?」

「そんなことないよ。私は方言好きだよ。津軽弁とか関西弁とか話してみたい。本当に日本語っておもしろいと思う」

「日本が好きなんだ」

「もちろん! 私、『日本文化研究会』に入っているの。通称『日文研』。楽しいよ。」


 そんな部活あるんだ。知らなかった。


「日本人なのに日本文化を知らないなんて恥! 日本の文化は最高にクールなんだよ!」


 日本人良かったこと。寿司、和食、おでん……。食べ物ばかり。お腹すいてきた。


「知ってる? 印象派のクロード・モネはね。日本の浮世絵に感化されたんだって。凄くない?」


 日本人凄いな。三谷さんは博識だ。新たな一面発見。


 すると彼女から提案。


「遠山君、日本文化研究会に入ってみない? 遠山君ともっと話してみたいな」


 部活のお誘い?! 


「本当に!?」

「うん。先輩が抜けて、部員少なめだし……。幽霊部員ばっかだし。」


 それ大丈夫?


「なんか訳ありなの?」

「それがわかったら、苦労しないなあ」

「わかった。放課後いく」


 好きな人からお誘い。 断れない。




 放課後、『生徒会室』前。


「三谷さん、どゆこと?」


 俺、疑問を言う。 三谷さん親切に返す。


「どういうことって。ここが『日文研』の活動場所だよ」

「いや、生徒会室だよ」

「あれ、言ってなかったっけ。『日文研』は生徒会の別名だよ。そして私は生徒会長」

「いや、聞いてないから」


 はめられた。


 花菱高校生徒会。


 曰く超過酷労働場。業務は行事雑用全般。残業は当たり前。青春の対義語。 


 誰もやりたがらない。学校の闇。


「やっぱ考え直します」


 ここは死地だ。引き返そう。


 しかし三谷さん。


「まあまあ、落ち着いて。話だけでも聞こう?」

「離してください」

「ちょっとだけでも」


 宗教勧誘お断り。


「私、遠山君と色々学びたいな......」


 それずるいよ。





「噂は嘘だった?」

「そう。生徒会はそんなに重たい仕事じゃないよ。私に下心がある生徒が入ってこないための嘘。そういう人はいても邪魔だから」


 すいません。下心あって来ました。


「でも『日文研』の活動は本当だよ。生徒会が日本文化を学ぶってクールだよね」


 二人きりの生徒会室。生徒会の活動を知る。意外にクリーン体制。


 三谷さんが茶淹れた。とてもおいしい。さすが日文。


「なんで俺を誘った?」


 気になっていたこと。なんで俺?


「それはね。君の瞳が輝いていたからだよ」

「え」


 満面の笑み。漫画っぽい台詞。そして、


「仮入部でもいいから入らない? 今なら生徒会加入の特典付き。勿論、会員費は年間無料だよ。本当に部員少ないから手伝って、ね、ね?」

「やっぱり詐欺だ!」

「身体の安全は保障するよ。だからさ」


 やっぱり闇企業だ! 精神の安全は?! 。


「助けて、遠山君だけなの、私を救えるの」


 三谷さん、悪魔。恐ろしい子!


「わかった。仮入部する」


 しょうがないでしょ。アイドルのお願い。断れない。


『日文研』に仮入部。生徒会にも強制入部。


 先が思いやられる。


三谷さんみたいなタイプはやりづらそうですね。

僕も『日本文化研究会』にはいって日本文化学びたいです。

特に日本語をもっと鍛えたいです。

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