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My らいとにんぐ ♡ Lady 〜落ちこぼれケモミミ魔法娘がダンジョンでチート少年を救うまで〜  作者: 九重 ゆめ(元佐伯 みかん)
第4章 落ちこぼれ少女と訳あり少年
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絶対にあきらめない!

  どのくらい時間が経ったんだろう……恐怖と爆発の衝撃で、気を失ってしまったみたいだ。 


 うつ伏せになった時に土が口にいっぱい入ってしまったみたい。気持ち悪い。むせて吐き出す。カンテラは持ち去られてしまったから、さっきと同じ。暗闇を照らす明かりはない。


 いまだにキーンと痛む耳をおさえつつ、じいっと辺りに目を凝らす。すると……次第にぼんやりと状況がわかってきた。


 私は今、大ミミズと戦った部屋の中心あたりに転がっているみたいだ。この部屋に入ってすぐ、爆風で吹き飛ばされたからに違いない。ケガは無いかな……ゆっくりと立ち上がってみる。熱い風に吹かれたり、地面に叩きつけられたけれど、幸い擦り傷くらいで大きな怪我はなさそう。よかった……と思うと同時に、急に不安で胸が締め付けられる。


 そうだ! ダンジョンの出入口はどうなったんだろう!?


 足元に注意しつつ出来る限り早く隣の部屋へと急ぐ。今の爆発でさらに崩れ落ちた土砂や石が、さっきよりもたくさん地面に転がり、道をふさいでいる。倒れて怪我をしないように気をつけないと……。


 ドキドキと早鐘を打つ心臓に手を当てつつ、何度か転びそうになりながら、やっと隣の部屋に戻る。


 急いで見渡すと、部屋の中心にあった台座が爆発で折れ、床に放られているのが目につく。ひどい……。思わず歩み寄り、しゃがんでそっと指で触れる。これほどまで大きな爆発だったなんて……無傷で助かったのは奇跡だったのかも……と考えて、私はハッと顔を上げた。そうだ、入口! ダンジョンの入口はどうなってる!?


 すぐ様立ち上がり、何度も転びながらダンジョンの入口へとたどり着いた。でも……。


 え? どこ? ダンジョンの入口は!?


 ない? ない!! 出入口がない! 天井から崩れ落ちた土砂と岩が、入口であった部分をまるでそこに出入口など最初からなかったように埋め尽くし閉ざしている


 やだ! やだ、やだ、やだ!! 


 私は土砂に爪を立て、力一杯壁を掘った。でも掘っても、掘っても、いくら掘り起こしても上から砂が崩れ落ちその場所を埋めていく。これじゃ、キリがない!!


ーー私たち、ダンジョンに閉じ込められてしまった!


 がたがたと足が震えてくる。考えたくないけれど、さっきの騎士団員の男性。彼がやったに違いない。でも王立騎士団はアマデトワールと、その周辺に住むネオテールの命を守るために働いているんだよね。それなのに、なぜ!? なんでこのようなひどい仕打ちを?


 足先から力が抜けていく。


 私は壁の前にヘナヘナと座り込み……そして……大声で泣き出してしまった。


 ひたすら泣きながら、私は心のどこかで一ヶ月前のあの時のことを思い出していた。そう。それは、魔力検診があった日の夜のこと。


 あの日、私はスーザンに怯えた表情で肩を突き飛ばされ、思ったよりもひどく傷ついていた……。


 家に帰って、おばあちゃんに隠すことなどできず、あったことを洗いざらし話した私は、それでもおばあちゃんを心配させたくなくて、笑い話にしようと必死だった。


 なんとか夕食が終わって、「王都に行ったら、おばあちゃんにオシャレなプレゼントを送らなくちゃね!」なんて、見栄を張って自室にこもって。誰もいなくなった部屋で急に怖くなって……おばあちゃんに聞こえないように、一晩中ずっと泣き続けた。なんでこんなことになったんだろう? なんであんなことをしてしまったんだろう? 一人ぼっちで王都に行くなんて怖い。一人ぼっちはイヤ……助けて!


『私が、二人を守りますから!』


 突然暗闇の中で声がした。これは……ラーテルさんの声?


『ボク、変わらなくちゃって思ったんだ! 二人を守りたいんだ!』


 これはレトの声だ! 私は顔を上げた。真っ暗な部屋に二人の姿はもちろんない。けれど確かに今、声が……。そっと胸に手を当ててみる。ああそうか……私たちはそばにいなくても心は繋がっているんだ!


 今この時も二人は私を信じ戦っている。自分を心から信じてくれる大切な友人たちが今はいる。だから一人じゃない! その友達を、私は。私も! 守らないといけないんだった……!


 一人のときと違って、大切な誰かのことを考えると急に力がわいてくる。状況は確かに最悪だけど……二人を守るため、助けるため!


 私は絶対あきらめないんだから!!


 立ち上がり涙を拭く。出口は閉ざされてしまったけれど、やれるだけのことをやってみよう! 私はその場で頭を抱えて必死に考えを巡らせた。他に出口はないだろうか。他の部屋、他の……!?


 そうだ! 


 ダンジョンの隣にもう一つ同じ構成のダンジョンがあるはずじゃない! さっきの調査と書いたノートを思い返す。ここが鳥の左半身だとするなら、右半身側にも同じ部屋があるはず。もしかしてそっちの出入口はまだ無事かもしれない!


 そう思いつくや否や、私は右側の壁にとびついた。確かこの部屋の右奥の方。レトが風がふきこでくると言っていた場所があったはず。私はその場所を真剣に探す。でも明かりがなくてよく見えない。これじゃきちんと探すことができない!


 知らぬ間に私は、首にかけたペンダントを握りしめていた。


 ーーお父さん、お母さん。友達を助けるため力を貸して!


 ふわっとあたりが明るくなった。


 え? まさか騎士団の人が戻って? 急に怖くなり両手を下ろし身構える。途端、明かりは消えてしまった。もしかして? 私はもう一度星型のペンダントを強く握りしめる。と!


 すごい! 


 握りしめた指のすき間から、淡い黄色の光が発せら壁面を照ら出す。どうやら力を加えるとこの石は光る力を持っているみたいだ。まさかこんな仕掛けがあったなんて……今の今まで気づかなかったけど……。お父さん、お母さんが見守ってくれているみたいで、なんだかうれしいな……。


 私はペンダントを握りしめたまま壁に指を這わせる。もっと右、もっと右奥。根っこのそば。確かこの辺り!


 あった!!


 ひやりとした風の感触を、確かに指で感じ取る。私はそのあたりにペンダントを近づけ、力いっぱい握りしめた。あ! 本当だ! 確かに! レトが言っていた通りだ。壁に埋まっている石と石の隙間。小さな穴が空いているじゃない! 覗き込んでも暗くてあちら側は見えないけど、確かにあちらからと思われる空気が、わずかに流れ込んでくる。


 私はその場所に、鞘から抜いたナイフを突き立てた。何度となく突き立てる。けれど石が数個落ちただけで、とてもじゃないけれど壁を壊すことなどできそうにない。さっきの爆弾があれば一発なのに……。


 そ、そうだ! 爆弾!! 私も持ってるじゃない!!


 私はリュックを下ろした。その中の一番奥底に、ヘルマさんの雑貨屋の占いで当てた爆弾が入っている。危険すぎるから、持ち込むのはよそうと思っていたのだけど、オウルさんに「彼女の占いはよく当たるから」と勧められ、今回の研修に持ち込みむことを許可されていたんだ。


 さっきの団員さんが、ダンジョンの入口に仕掛けたものより一回り小さい。ヘルマさんも「せいぜい5cm程度の厚さの壁に人一人が通れる穴を開けれるくらいじゃろね」と言っていた。ダンジョンの入口に穴を開けるのは無理だけど、すでに小さな穴のあるこの壁程度なら問題ないはずだ!


 教えてもらった使い方を真剣に思い出す。チャンスは一回しかないものね。緊張で触れる指を、必死に動かし秒針を20秒後にセットして。あとは爆破したい場所に置き、上部のボタンを押したら、できる限り遠くへ離れるだけだ!


 私は時計型の爆弾を小さな風穴の開く壁のすぐ下に置き、魔法をかけてダッシュで部屋を飛び出した。隣の台座のあった部屋の壁際にしゃがみ耳をおさえてうずくまる。セットしたのは20秒。心の中で数を数え続ける。


 ……あと、5秒! 4、3、2、1!


 響き渡る爆発音。揺れるダンジョン。自分で仕掛けたとはいえ一瞬恐怖に支配されそうになり、私は強くペンダントを握った。細かな振動と、もうもうと流れ込む爆煙がおさまってから……私は隣の部屋に踏み込んだ。


 ペンダントの光を頼りに、ゆっくりと部屋の右奥へと歩み寄る。どうか、どうか穴が開いていますように……! お願い! 強く強くペンダントを握りしめ、そちらに視線をやる……!


「あ、ああ! 穴が開いてる……」


 先ほど爆弾をセットした場所。そこにはまさに、人一人が通れそうな直径1m程の穴がぽっかりと口を開けている! やった。これでみんなを助けられるかも! やった! やったあぁあああ!!


 隣のダンジョンへの道を確保できたことに、安心してその場にへたり込みそうになるのを、なんとか我慢して私は穴に手をかけた。座り込んでいる暇はないものね。


 さあ! みんなを助けるため、急いでダンジョンの出口を探さなくっちゃ!!

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