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My らいとにんぐ ♡ Lady 〜落ちこぼれケモミミ魔法娘がダンジョンでチート少年を救うまで〜  作者: 九重 ゆめ(元佐伯 みかん)
第3章 初探索! あれ? ここって本当に研修ダンジョン?
30/42

!?

 魔法をかけて走り出した私の目の前に、徒党を組んでこちらを目指す、悪魔の眷属たちが姿を現した。


 ゆっくりと足を引きずり歩く姿は、一ヶ月前出会ったアイツそっくり。ドキッとしたけど、しかし速さはこっちが上! 勇気を出して懐に飛び込むと、焦っているような素振りをして、歩みが遅くなる。その間に、奴らの足の間や、横をすり抜けて……なんとか大ミミズに出くわした部屋へと滑り込めた! 


 一度立ち止まり、大部屋を振り返る。


 ラーテルさん……通路におびき寄せて一匹ずつ戦うと言っていたけれど、大丈夫かな……精一杯急ぐから無事でいてね!


 この大ミミズがいた部屋も、先ほどの揺れのせいか、地面に崩れ落ちたと思しき土砂があちこち散らばっている。けど出入口は無事! ほっと胸をなでおろす。ダンジョンの入口もどうか無事でありますように! そう祈りつつミミズ部屋も縦断し、鳥の壁画が描かれていた台形型の部屋に……飛び込んだ……!


 ここまで来れば外まであと少し! さあ一気にダンジョンの入口から外へ出よう! 


 はやる気持ちを抑え切れず、ひととびで部屋の中央まで駆けようとした私の目に、いきなりまぶしい光が差し込まれる……!


 何?? 目が痛い……。


 急に現れた強い光に目がくらんで立ち止まる。右手をかざし目を細めてあたりを見渡した。


 火? ううん、違う。特徴的なオレンジ色の光。これはまさか……カンテラの明かり? でも一体誰の!?


 私はゆっくりと目を開けた。ゆらゆら揺れる光に照らされ、何者かの影が長く細く私の足元まで伸びている。ドキッと鼓動が跳ね上がる。


 こ、これって……人影!? って人!? 


 私はさらに顔を上げる。ちょうど部屋の正面奥。ダンジョンの入口付近。背の高い人物がこちらを背を向けて、何か作業をしている様子が目に飛び込んでくる。


 その人物は背が高く、肩幅も広くて……男性のようだ。グレーの髪に同色の尖った大きめの三角の耳。そして……ああ、真紅の鎧を着込んでいる……! あの人はさっき城壁の扉で警備をしていた王立騎士団員の人! 異変に気付いて助けに来てくれたんだ! た、助かったああ!



「あの、さっきの遺跡調査課のものです! 助けてください……! みんなが!」



 私の声に騎士団員は、びくりと一度身体を震わせ、ゆっくりとこちらをを振り返った。


 優しい表情をなんとなく想像していた私は、彼の顔を見上げてそのギャップに言葉を失った。

 私を見下ろすその表情……恐怖と怒り、憎しみ、それに深い悲しみと憤り……様々なマイナスの感情を心にひめ、押し殺したような凄惨な顔をしている。ああ。私はこの表情を見たことがある。一ヶ月前のあの魔法の試験で、スーザンと試験官が私に向けていたあの顔にそっくりじゃないか……。


 でも……嘘! 今は信じたくない! な、何かの間違いに違いない。お願い! 助けて!


 とにかく彼の腕をつかもうと手を伸ばした。彼も私に向かい腕を差し出す。


 ああ、良かった……やっぱり間違いだった。彼は助けに来てくれたんだ。これでみんなを助けることができる! 


 緊張の糸がふっと切れ、力の抜けた手で、私はその腕にすがろうとした。


 ……まさにその時!



 差し伸べられたはずの腕は、私の手をするりとかわし、肩を力一杯つかみ上げる。……え? い、痛っ……!



 どん!



 そのまま思い切り突き飛ばされ、私は後ろの壁に嫌というほど背中を打ち付けた。一瞬息がつまる。なぜ? 胸に手をやりつつ驚きと抗議の眼差しで、騎士団員を見上げた。男はこちらを見もせずに、カンテラをひっつかむと、入口に何かを置いたまま、身をかがめ、逃げるようにして細い通路をすり抜けて外へ出ていってしまった。待って! 中にはラーテルさんたちが……!


 突き飛ばされ、背中を強く打った痛みで声が出せない。けど、なんとか騎士団の人を引き止めようと、私は立ち上がってあとを追った。ふらつきながらもダンジョンの入口へと歩み寄る。でも……その入口に数個、置かれたままの時計に気がつき足を止めた。


 暗闇に目を凝らす。この大きさ。見覚えのある形。まあるくて赤い目覚まし時計のようだけど、そうではない。……時計のようで、もっと危険なもの。そう、これは! ヘルマさんの雑貨屋でもらったのと同じ、タイマー付きの爆弾!?



 気づいたのと同時に、慌てて身をひるがえした。まだ少し魔法の効果が残っていたのが救いだ。部屋の外へ逃げないと! とにかく遠くへ離れないと! 全速力で駆けるも……。



  一歩間に合わなかった。



 鼓膜が破れんばかりの爆発音と、灼熱の爆風が部屋の中を駆け抜け、私の身体は部屋の外へ吹き飛ばされ、固い地面にいやというほど叩きつけられた。


 もうもうと巻きあがる粉塵と、土埃。天井から土砂が崩れ落ちる鈍い音。

 私は耳と頭を押さえて体を丸め、倒れたその場所にただただ、うずくまるしかなかった……。

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