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My らいとにんぐ ♡ Lady 〜落ちこぼれケモミミ魔法娘がダンジョンでチート少年を救うまで〜  作者: 九重 ゆめ(元佐伯 みかん)
第3章 初探索! あれ? ここって本当に研修ダンジョン?
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出たな! 原生生物と初バトル!(2)

 当たれえええぇえ!


私は胸の前に拳を作り、一生懸命神様に祈った。

 あの細い身体の一体どこにそんな腕力が? と思わせる彼女の攻撃が驚く速さでミミズの顔面へと迫る。


 これを食らったらひとたまりも無いはず! いっちゃぇええ! 


 と念じた私の思いは……。数秒後ことごとく裏切られてしまった。


 大ミミズもさすが原生生物=モンスターと言われるだけある。彼女の攻撃を全身の五感を頼りに、ギリギリのタイミングで身体を背面へ折り曲げ……かわした!? しかしラーテルさんもそれを黙って見過ごすはずない! 振り抜いた武器を今度は横にスライドさせ、殴打しようとするも……そらした身体を地面に突き立て、そのまま土くれを巻き上げ地面に潜っていってしまったじゃないか!


「みんな!」


 奴が消えた後、3人のところへ駆け寄ろうとした私を、オウルさんが手を上げて止め、


「部屋の外へ向かいなさい! 奴は相当腹が減っているらしい。餌に執着しているようだ」


 険しい表情でそう続けた。


 そ、そのエサって……つまりは私たちのことだよね!?


 そう叫ぼうとした途端、また地響きが始まる。でもさっきほど激しいものではない。ということは今回のターゲットは私じゃなくて、他の誰か?


「レトも部屋の外へ行きなさい、私が囮になるから!」


 と声をあげ、我々から距離をとったオウルさんの足元が、彼の灯りを反射し、ぬらりと光ったような気がした。え!? もしや!? と、思いきや、土からもっこりでた背中の穴の部分がのぞき、


 何か飛び出してきた!?


 当たっちゃう! 思わず両手で顔を覆うも、その隙間からオウルさんがマントをひるがえし、ぎりぎり横に飛びすさりかわしたのが見えた。


 べちゃっと音をたて、私から少し離れた壁に何かがへばりつく。カンテラをかざし確かめるとお。うええええ! 粘液だ! これがお得意の粘液攻撃というものかあ。この粘液をエサに当てて、動けなくなったところを、頭かガブリっていうのが奴らのセオリーらしい。


ミミズに食べられるような最期だけは絶対にゴメンだ!


「アーミー! 作戦2番です!」


 その考えが伝わったのかにラーテルさんの声がした。私は振り向く。ラーテルさんが木槌を振りかぶり、真剣に私を見つめる表情が、カンテラの光に映し出されている。


 作戦2番! 今度は私とラーテルさんが組んで攻撃する番だ!


「お、オッケー!」


 そう答えると同時に、心臓がさらにドキドキ、バクバク音をたて、さ〜〜っと緊張から血の気が引いていくのがはっきりとわかった。


 こわい。それ以前にうまくできるかな? 


 そんな不安な気持ちがさざ波のように押し寄せ、押し潰されそうになる。きっとさっきのレトも同じような気持ちだったに違いない。でも頑張った……! ラーテルさんもそうだ!


 だから、今度は私の番だ!


 オウルさんとレトがうなずき、部屋の外に出るのを確認して、私は呪文の準備をする。


 作戦2番は、ラーテルさんと私の連携攻撃だ。土に潜ったミミズを、まずラーテルさんが地上へと叩き出す。叩き出され、パニックになっているうちに、奴の弱点を私が攻撃するという内容だ。


 奴の弱点はさっきから粘液を吹き出している背中の穴。


 身体はいくら攻撃しても痛覚はないのか、相当なダメージでなければ効かないけど、あの穴の付近は皮膚が柔らかく、武器を突き刺せば、大ダメージを与えらえるんだそうだ。


 ミミズにとっては身体を保護する粘液を吹き出す大切な器官。回復を優先させるため、大慌てで遠くへ逃げていくはずだって、エルクさんに教えてもらったんだよね!


 で、ミミズをおびき出す方法なんだけど……。


 さっきも言ったけど奴は、全身の皮膚が感覚器官となっている。だからして潜っている地面に大きな振動や音を与えられたら、ひとたまりもないわけで……。


 私が魔法を唱える準備をしたのを確認したラーテルさんは、一度うなずき、武器を力一杯振り上げると同時に、ジャンプ一閃……着地と同時に、叩きつけた!!

 

 ズドン!!


 私の耳までピクピク痙攣してしまう程、物凄い低音、そして地響き。これを全身の感覚で聞いたら、たまったもんじゃないだろう……って。


 あ、やっぱり! ほら! 部屋の真ん中あたり! 


 土が蠢いている。と同時に、闇の中に白く砂埃と、土煙を巻き上げ、大ミミズが全身を苦しそうにうねらせながら、突き上げるように飛び出してきたじゃないか! そして地面の上に落ちのたうちまわる。


「アーミー! 今です!」

「ライトニング・スピード!」


 パチン! 私は両手を合わせ、その手を自分のももに押し当てる。そのまま腰からナイフを抜き、ミミズへ向かってダッシュを決めた。

 実際のところは逆の方向へ逃げたいくらいだ。虫もそんなに得意じゃないし……でも。レト、それにラーテルさんも頑張っている。それに二人の役に立ちたい! その一心で自分を奮い立たせる。


 振り上げられたミミズの尾の下をくぐり、ひぇええ! 苦し紛れに頭突きをかましてきた頭部の攻撃を、ジャンプで飛び越え……! 着地! なんとか奴の背後に回った。

 目だけを左右に動かして弱点を探す。


 穴、あな……あ! あったあった! 腰につけたライトが照らし出す、奴の背中! 寝転んだ状態のまま、グネグネとうねる体の側面。粘液がドロドロとこぼれ落ちている噴水の噴出口みたいな箇所。私はその穴の少し横、カンテラの明りを受け、ピンク色に光る柔らかそうな部分に狙いを定める!


「戦いはお互い命をかけたやり取りだ。自らの命を守るのに、相手を傷つけなければならぬこともある。躊躇したら仲間の命が危険にさらされる可能性もあるからな……!」


 実技の研修中、何度も言われたエルクさんの言葉が蘇る。そうだ、迷っちゃいけない! 私がやらないといけないんだ!


「えええええい!」


 私は声を上げながら飛び上がり、夢中でその場所に刃を突き立てた。地面に降り立ち、すぐさまナイフを引き抜き、距離を取る。


 声無く苦しそうにのたうちまわるミミズ。そのまま自らが出てきた穴を見つけ、這う這うの体と言った様子で頭を突っ込んだ!


 頭が見えなくなり、胴体が見えなくなり……終いに尾が見えなくなり、奴は完全に姿を消した。


 しんと静まり返るダンジョン。辺りは気味わるいほど静まりかえっていく……。


 しばらく動かず待つも、地面は揺れないし、振動もない。地面奥深くへ逃げて行ったらしい。……もう、大丈夫みたい!


「アーミー! 怪我はありませんか!?」

「ラーテルさん大丈夫!?」


 ラーテルさんの声に、私は彼女を振り返り、ダッシュ一番、彼女に飛びついた。その無事なことを確かめたくて、あったかいラーテルさんの首に手を回し抱きつく。ああよかった! 私も、ラーテルさんも無事で、生きてる! お互い怪我もなさそうだ。


「私は大丈夫だよ!」

「私も。なんともありません。ああ……よかった」


 しばらく抱き合ってたけど、離れて私はそう答える。ラーテルさんもうれしそうに。そしてホッとした表情で優しく微笑んだ。あぁあ〜! 本当に良かったあ!


「二人ともぉ〜〜、大丈夫ぅう〜〜!?」


 部屋の外にいたレトも走ってきた! そして、ジャンプ一番、私とラーテルさんに飛びつこうとしたんだけど……。

 ほら、ラーテルさん男嫌いだから……。案の定さっと身をかわされ、ずべっと転びそうになるところを、おっと! 私が受け止めた。


「ラーテルさんひどぃいい」


 シクシク泣くレト。うーん、毎度というかほぼ毎日のことなんだけどレトも懲りないなあ……なんて苦笑いしてたら、レトの後ろから、オウルさんが笑顔で私たちを見下ろしてくれる。

 

「よく頑張ったね! 怪我はないかい?」


 そういって、私の頭を撫でてくれた。


「興奮していて、怪我をしてるのに気付かない場合もある。よく自分の体を見てごらん」


 私とラーテルさんは、お互い体をよく見てみた。土くれを被って汚れて入るけれど、痛いところはない。ラーテルさんも同じようだ。私たちは顔を見合わせて頷いた。


「大丈夫です」「大丈夫ですわ」


「そうか、良かった……武器も、もうしまって良さそうだね」


 オウルさんの心底ホッとした声に、私は手にしたままのナイフに目をやった。


 その瞬間だ。 


 今の今まで興奮状態で夢の中にいるような気分だったけど、敵とはいえ、命あるものの身体を傷つけた、あの感触がなまなましく蘇ってきて……。

 ゾッとすると同時に、罪悪感に押しつぶされそうになり、私はぎゅっと目をつぶった。


「アーミー、どうしたんだい?」


 そんな私にオウルさんがすぐさま気付き、声をかけてくれる。


「化け物とはいえ、生き物を武器で傷付けてしまいました……仕方ないけど、申し訳なかったなって」


 モンスターに気を使ってどうする? と叱れられるかと思いきや、オウルさんは、そっと目を細め優しく微笑みかけながら私を見下ろした。


「彼らの再生能力は並大抵ではない。土の中で数時間寝るだけで、あっという間に傷が塞がるのだそうだ。だから大丈夫だろう」


「そうなんですか。良かったあ」


 う……さすがモンスター治りが超人的……と内心呆れつつ、ホッとした私に、


「アーミーは優しい子だね。その気持ちをいつまでも忘れないでいてほしい」


 そうオウルさんが続けた。


 え、ええ!? や、優しい!?


 そんな風に成人男性に言われるのは初めてかも!? 私はなんだか気恥ずかしくなって真っ赤になってしまった。


 そういえば、おばあちゃんもよくそう言ってくれていたなあ……。研修が終わったらまた手紙を書かないと。


 って、ほんわか回想してる場合じゃなかった。


 得物を出したままにしておくのは危ない。急いでナイフを鞘にしまおうとすると……刃から何かが大量に滴り落ちたのに気づいた。え? ちょっと待って!? な、なにこれえええ!?


 よくみて……いや見なくてもわかる。ミミズの粘液じゃん!!


「なんかベチョベチョで、鞘にしまえないんですけどぉおお」


 オウルさんがそれをみて、噴き出す。


「さっき攻撃したときに付いたんだろう。貴重な飲料水を洗浄に使うわけにはいかないからね。この古布で拭いたらどうだろうか? とはいえ、この粘液は不老不死の薬、美容薬の材料として重宝され、高額取引されるようだけどね」


 なんてのんきに笑いながら、リュックから古布を出し手渡してくれた。


 嘘でしょ? これを飲んだり、体につけるなんて。どんなにお金を積まれても、絶対に嫌だああああ。


 苦笑するラーテルさんの横で、いつの間にか元気になったレトが両手でエンガチョしてる! おのれ、レトー他人事だと思ってーー!


 手渡された布を何重にも折って、私は一生懸命にそのドロドロを拭き取った。大丈夫かな? キレイになるのかなこれ? 一心不乱にふき続ける私の背後で、


「それじゃあ、部屋の調査を始めようか?」


 オウルさんの声がした。あ、私も記帳しないと! なんとかナイフを鞘に収め、振り返ろうとした私の横で、


「あれ? なんだろう……くんくん……匂う」


 レトが鼻を鳴らした。その視線の先はただの壁……?


 一体何の匂いがするっていうんだろう??


 私はその壁に向かって何気なく歩み寄り、そっと手を伸ばした。



ーーーー

GW中は、なかなか時間が取れないため、更新頻度がガタ落ちになるかもしれません(泣)すみません! しかし死なない程度に(忘れられない程度に泣)頑張りたいと思います! よろしくお願いします〜!

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