街パニック
一行となんとか打ち解け、目的地であるルランテの街という所へ向かっている。
「ディアガン様、街までもうすぐですよ」
サイオスと同じパーティーだという杖を持った魔女っ子ルックのアネルはそう言う。
因みに他には、弓使いのランディとメイス使いのレイネ。
レイネは光魔法使いで、回復を得意としていると言っていた。
ちなみにサイオスは二刀流だと言っていた。
「回復って聖魔法じゃないの?」
「違いますよディアガン様。
回復魔法は光属性のライトヒールと聖属性のホーリーヒールの2つです。
光の上位互換が聖になります」
なるほど……。
「ライトヒール」
サイオスに魔法を使うと微かに体が光った。
「ホントだ。
光魔法でも出来るんだな~。
光と聖のヒールに違いってあるの?」
「ライトヒールは本当にただ傷を癒やすだけですが、ホーリーヒールはライトヒールよりも回復量が多く、清潔になり、アンデッドにダメージを与える事が出来るんですよ。
MPの消費は上位互換である聖魔法が多いです」
そんな違いがあるのか。
まあ俺は使い分ける必要ないかな。
光は攻撃に、聖は回復と言った感じで使い分けよう。
「後天的に練習とかしれ魔法を習得できたりするのか?」
これにはアネルが答える。
「出来ますよ。
ですが魔法の相性によりますね。
人それぞれに得意と不得意の魔法があり、得意とする属性なら頑張れば習得できますが、不得意となると習得にかなりの時間がかかりますし威力が劣るんです。
そんな事するよりは生まれながらに持つ魔法を伸ばしたほうが圧倒的に強くなります」
「そういうもんなのか~」
「因みに、超裏ワザなのですが、ダンジョンから出てくるアイテムの中にはスキル珠というのがありまして、超レアなのですが、これを使うとスキルを一瞬で習得できます」
アイテム召喚でそのスキル珠を意識してみると、膨大な数の種類があった。
スキルとなるものは全てのスキル珠があるようだ……。
それにべらぼうにDPが高い。
これ絶対使わないだろっていう不運のスキル珠でも40万はする。
因みに、時空間魔法は五千億DP。
滅茶苦茶たっけ~。
そうこう話しているうちに街が見えてきた。
俺達が近づくにつれて門の前で並んでいる人達が騒然とする。
そりゃそうだ。
俺が居るんだもん。
ゾロゾロと兵士が出てきて俺を警戒している。
「そのドラゴンを連れた馬車の一行!
止まれええええええええ!!」
いう通りに止まる。
俺も一緒に停止して兵士を見下ろすと、兵士が小さい悲鳴を上げた。
「そ、そのドラゴンについて説明を求める!!」
サイオス達はどう答えたらいいかに困って俺をチラッと見る。
まあ俺のせいだし俺がなんとかしてみよう。
「我が名はディアガン。
この地に降りし聖龍なり。
いろいろ見て回っている。
この者達とはたまたま出会い友誼を結んだ。
我求む、この街に滞在する事を」
これで俺の威厳は示され、この人達もお咎め無し、俺は自由に街に出入りを……?
なんでみんな平伏してるの?
サイオス達までも。
えぇ~……。
今、俺の目の前にはやたら緊張している貴族の男がいる。
あの後あれよあれよと話はあっという間に流れ、報告を聞きつけたこの地域一帯を治めるギルディット子爵がわざわざ来たとい事だ。
挨拶た済ませ今に至る。
「ど、どうぞ我が街を存分に見ていってください!
今夜た我が屋敷にてお饗しさせていただきます!」
子爵自ら街に入る事を許可してくれたから俺は堂々と門から入る。
門を潜り入った街でもいきなり俺が現れら事で大騒ぎとなってしまった。
事態の収拾に兵士が駆りだされ、大々的に俺が聖龍である事を喧伝された。
それにより更に騒ぎになってしまったのだ言うまでもない。
というか龍伝説有名過ぎだ。
過去の先輩がどんな伝説を残したか知らないけど知名度高すぎ。
はぁ~っとため息を吐き、気が滅入りながら言う。
「我に平伏す必要はない。
普段通りの方が我は嬉しい」
どよどよと戸惑いながらも立ち上がり、ぎこちない日常に戻った。
この体……面倒くさいな、っと辟易した。
人間になれれば良いのに……。
ん?
人間になる?
人間に変身する方法なんかあるんじゃね?
スキルとかでヒト化の術とか物語で見た事あるし。
アイテム召喚でヒト化のスキル珠を探すとある事にはあった。
【擬人化珠】5000万DP
たっけぇよ!!
とりあえずヒト化は諦めてこの状況は仕方ないと受け入れた。
高く空に飛び、下を眺めて人間の街、人間、色んな物を観察する。
人が何をしているのか隈なく見れるのは結構楽しくて、あの人はこんなことしているのかとか、何を買っているんだろうとか、子供たちは何して遊んでるんだろうとか、時間を忘れて眺めてしまった。
だけど住民は街の上空に居る俺を結構気にしていて、割とよく目が合う。
街並みも綺麗で大通りには色んな店が並び、広場にはずらりと露天が並んでいる。
大きな建物があり、冒険者が出入りしていたり、馬車が頻繁に出入りしているのは商人ギルドというやつだろうか?
日も沈みかけ、俺は子爵の家と思われる庭の広い屋敷に近づいた。
案の定そうだったみたいで、屋敷を警備している兵が慌てて中へ駆け込んだ。
勝手に中に入っていいものかと悩み、屋敷の門の前で待っていた。
門兵ガチガチに緊張してるよ。
正直スマン。
待っていると、子爵が執事を伴って来た。
「お待たせしました聖龍様!
ようこそ私の屋敷へ!」
ギルディット子爵は意気揚々とした感じで俺を庭へ案内した。
「申し訳ありません聖龍様。
我が屋敷が小さいばかりに御身を庭に滞在させてしまう無礼、どうかご容赦ください」
深々と俺に頭を下げる。
「いやいや、こうして庭を貸してくれただけでもありがたい。
それと、俺の事はディアガンて呼んでください」
庭は俺の為に急いで用意したんだろう饗しの準備が整っていた。
料理が大量に並び、楽団が音楽を奏で、踊り子か場を盛り上げる。
大きな絨毯が敷かれている隣にテーブルと椅子があった。
俺がその絨毯の上に留まると、その席にはギルディット子爵が座った。
「ディアガン様、私の家族も同席させてもよろしいでしょうか?」
「おお!いいよ!
みんなで一緒に食べよう」
そう言うと側に控えていた執事が一礼してこの場を離れる。
どうやら呼びに行ったんだろう。
しばらくして、女性と二人の男の子が屋敷から出てきた。
「お初にお目にかかります聖龍様。
メリンダ・ルイトルと申します」
綺麗なブロンドの女性だ。
物腰が柔らかく、笑顔が自然で優しそうな雰囲気だ。
「子爵家が長男エイデル・ルイトルと申します。
お目にかかれて光栄です聖龍様!」
この子は好奇心旺盛そうな元気さを感じる男の子だ。
この子もブロンドでまさに貴族の息子って感じで容姿が整っている。
「エナル・ルイトルと申します!
聖龍かっこいい~!!」
こっちはまだ幼い感じで可愛らしい。
目がくりくりで大きく、ブロンドの癖っけヘアがよく似合う笑顔の可愛い男の子だ。
「我はディアガンと言う。
ディアガンと呼び捨てにして欲しい」
挨拶も終わり、宴の始まりだ。
俺が食べやすい様に料理は浅い多くな皿に乗っていて、俺はいろんな料理をぺろりと平らげる。
肉料理が多めだけどどれも美味しい。
「お口に合いましたでしょうか?」
「どれも美味しい!
豊富な味付けで食が止まらないな」
「そうですかそうですか!
料理人もディアガン様にそう言って頂けて喜びましょう」
音楽と料理を一通り楽しんだ所で子爵は切り出す。
「ディアガン様は何故この地に?」
「俺がこの地を選んだんじゃない。
生まれたのがこの地なのだ。
この街にやって来たのはたまたまだな。
冒険者と出会いこの街へ向かっているという事だからついてきた。
王都へ行く寄り道だな」
「そうですか、そうですか!
ではこの偶然の出会いを祝して乾杯!」
人間たちはグラスを掲げ、俺はそばに置いてあった杯に口をつける。
「王都へ行くという事は国王へ会いに行くのですか?」
「その通り。
この国に俺のダンジョンができた事を報せにな。
国にとってダンジョンとは重要な存在なんだろう?
この酒もなかなか美味いな」
「だ、ダンジョンですか!?
聖龍様のダンジョンがこの国にですか!?
なんという……なんと言うことだ!!
祝杯だ!!
この国は安泰だ!!」
子爵は興奮してしまった。
「ただ場所が場所だからな。
その事について相談したいのと、まだ出来たばかりのダンジョンだ。
過度な期待は困るぞ」
「何をおっしゃいますか!!
必ずや困難を解決してみせます!
王都へ行く時は私がごご案内致しましょう!」
なっか子爵様ついてくることになった。