ダンジョン開通!
『最後に、ダンジョンボックスの説明をします。
このダンジョンボックスは、ダンジョン探索者が落とした物、探索者が死亡した時に持っていたアイテムが回収されずに一定時間過ぎると、自動的に収納される空間となっております。
マスターであれば出し入れ自由です』
見てみるがもちろん何も入ってるものは無い。
『使う場合は、ダンジョンボックスと念じれば収納、取り出しが出来ます。
それでは次に、コアについてです』
妖精は俺の目の前に乳白色の淡く光る玉を出現させる。
すると、頭に《コアを確認、登録完了》とアナウンスが流れる。
『今登録されたこのコアは貴方のもう一つの命となります。
これはダンジョンの秘宝であるので、人間等はこれを狙って襲ってきます。
くれぐれも奪われたり破壊されないように気を付けてください。
ダンジョンの外に持ち出されるとダンジョンは崩壊し、マスターは死にます』
「マジか!!
物騒なもんだな……。
とりあえず安全に守れるように隠しておかないと」
『現在持っている10000DPは準備ボーナスであり、無くなると侵入者からしかポイントは得られませえんので慎重に使ってください。
ダンジョン内であればマスターは自由に転移する事が出来て、召喚したモンスターもマスターの力で自在に転移させる事が出来ます。
最後に、以上の説明を持ちましてダンジョンを開通いたします』
「え?」
《ダンジョンを開通、確認》
またしても頭に声が響き、慌ててダンジョンステータスでマップを確認しようとすると、頭にマップが浮かんでくる。
ダンジョン建築にあるマップとほぼ一緒だけど、違うのはモンスターの位置が点として示されている事だろうか。
建築にあるマップにはただの図面だけだった。
マップ外に繋がる道が出来ている。
これが外へ続く道という事だろう。
「きゅ、急だな……。
おい、今俺は世界のどういうことろにダンジョンを構えたんだ?」
脳内マップを閉じて妖精の方を見ると、妖精は消えていた。
浮遊している体をうねらせどこを探しても妖精は何処にも居ない。
「……マジか。
説明するだけして消えやがった……」
とりあえずこのコアを守る部屋を急いで作ってモンスターを召喚しないと。
現在のポイントは8899DP。
「とりあえずゴブリンを10匹召喚だな」
召喚されたゴブリンは三頭身で、耳と鼻が大きいく、緑色の肌で醜いく汚い。
「ぐぎゃ!」
俺の姿を見て何か騒いてるし……。
この最深階層のここから一回層に移動させよう。
とりあえず言葉が通じるのか試してみる。
「お前たち、上の階へ行け。
その後は好きにしていいが仲良くしろよ。
侵入者は俺が対処する」
すると、ゴブリンはブンブンと頭を振り頷き、スライムは跳びはねる。
そして、ぞろぞろと上の階層へと続く階段の方へ行く。
「よしよし、言葉は通じるようだな。
転移は後で試せば良いか。
このコアは無造作に置いておくわけにも行かないよな……」
ダンジョン拡張と改装を併用し、背後に長さ10mの俺が丁度通れるほどの道を作り、その先に拡張で10㎡の広場を作り、そこにコアを安置する。
このコアのある部屋へ続く道に落とし穴を設置して……。
「とりあえずこんなもんでいいか。
コアが剥き出しってのも何かな~」
ダンジョンアイテムでそれっぽい何かがないか探してみると、3000DPと少し高めだけど祠があったからそれを購入する。
目の前に祠が現れ、そこにコアを置く。
まるで御神体だ。
「ほお~、こんな感じで出てくるのか」
奥の壁際に祠を設置した。
「よし!
次は地上を開拓しないと」
転移で一階へ移動し、地上へ出る。
巨大な岩山の麓にポッカリと空いた洞窟があって、そこが入り口になって居た。
入り口の目の前は手付かずの原生林。
「とりあえず地上部分ダンジョン化してマッピングしていくか」
残りか5779DPだから3000使って3kmを領域拡張しとく。
イメージして入り口を中心に拡張を使うと、脳内に表示されたマップが一気に広がった。
それと同時に数多の情報が一気に脳に送られくる。
「こう、脳みそが圧迫されるということは無いんだな……」
ダンジョン領域内には赤い点が無数に広がっている。
敵対生物で良いのだろうか?
とりあえず一番近くにある赤い点の方へふよふよとのんびり浮遊しながら、異世界の景色を楽しみつつ向かう。
「こうやってずっと浮いていられるのは楽だな」
樹々は相当樹齢が高いのか極太の幹が並んでいて、高さも相当ある。
この原生林は空高く育った木の葉に一面覆い尽くされ、ほとんど陽の光が入らない薄暗く陰鬱とした雰囲気がある。
心なしかどこからともなく不思議な鳴き声が聞こえるような……。
体は龍だけど心は人間な所があるから、今更ながら結構怖い。
そして赤い点に近づき、そこに何があるのか見てみると、巨大な黒蛇らしきものが居た。
ヌラヌラとテカっているウロコに極太の木の幹より太い体。
蜷局を巻いていて、この辺に生えている樹を何周にも巻きつけそうな程に長く見える……。
それに、その蛇から感じる威圧感が半端ない。
幸いその黒蛇は寝ているようだから大人しく退散させてもらった。
「いかにもヤバすぎだろ……。
あんなのが居んの、どんな魔境だよ……。」
ある程度離れて、次に近い赤い点の方へ飛んでいく。
この赤い点は移動しているから起きているみたいだし慎重に行動する。
もしさっきの蛇並にやばい奴なら対策考えないといけない。
太い幹に体を隠しながらひょっこりと顔を出し覗きこむ。
今度は赤黒い体毛に覆われた4足歩行の獣だ。
口から生えている大きな牙がえげつないほどに存在感を放っていて、やつの足元にはこれまた大きな鹿が首をあらぬ方向に曲げて血を流し倒れていた。
これは間違いないだろうな。
「間違いなくここヤバい魔境みたいだな……」
とりあえず転移してダンジョンの入り口に戻る。
「どうしよう……。
定番なら人里の近くだったり雑魚モンスターしか居ないような森の中だったりで簡単に人間と出会えると思ったのに……」
俺はまだ知らなかった。
そんな魔境生物より自分の方が遥かにヤバイ存在なのを。