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諸王国会議(4)


 強い光が俺を包み込み、視界が遮られ眩い光の中で俺は不思議な感覚に身を任せた。

 体の内側がどんどん熱くなってきて、体が強引に圧縮されていくような感覚に身悶える。


「ぐうううううう!

ぐああああああああああ!?」


 激しい痛みを伴い体は作り替えられていく。


 そんな俺を子供達、ミーシャ、エデルは目を見開き驚愕し、ミカゲ、ギャゾ、カエデは特に変わった様子もなく俺の変化を肴に酒を煽る。


 暫くして光は収まり無事擬人化した俺は床にぐったりと倒れていた。


「終わったみたいだね」


「初めてはそうなるな。

慣れろとしか言えん」


「生まれたばかりと聞きましたからもしかしてと思いましたが、やっぱり姿は子供ですね」


 三人は動じる事はなく横たわる俺を見て語らっている。


「ご主人様!!」


 ミーシャは俺に駆け寄り抱き上げる。


「ん……」


 瞼が開き光が目に入り込む。

 俺の顔をミーシャは泣きそうな顔で覗き込んでいた。


「ん……?

どうした?」


 幼い声がミーシャに話しかける。

 俺は自分の声に驚きバッと体を起こすと今まで見ていた景色とは全く違う景色があった。


 何もかもが大きく見える。


「無事人の姿にはなれたね。

完全に人間というわけではないけど。

あそこの姿見で確認してきなよ」


 ミカゲのいう通りに姿を確認する為に浮き上がり鏡の方へと向かう。


 鏡に映る自分の姿。


「おおおおおおお!!

おお……?」


 全身が真っ白で、短髪の髪の毛も睫毛も眉毛も産毛も全てが白い。

 額には小さいクリスタルのような透き通る薄い青色の角が生えていて、瞳も銀色に輝いている。

 眼孔は縦割れの猫のような形だ。

 神々しく美しい6歳くらいの子供が鏡に映っていた。


 手の甲から肩にかけて鱗が生えており確かに完全な人間の姿とは言えない。


「でもちゃんと人間の子供みたいな姿にはなってる!!」


 自分の手をグーパーと動かししっかり自分の意志で動かせることを確認して感動する。

 全裸の姿のまま俺は鏡に映る自分の姿をニヤニヤと眺めていた。


「やっぱりディーくんはそういう趣味が……」


「違います~!!」


 ようやく鏡から離れてミカゲたちのところに戻る。


「服は着なくていいの?」


「今までが全裸みたいなもんだしこの種族になってからなんか裸でいる事が恥ずかしいと思わなくなってるんだよね」


「確かに俺もそうだったな。

どれ、俺も擬人化するか」


 ギャゾもスキルを発動して擬人化する。

 俺と同じように眩い光に包まれて収まると、そこには20代前半に見える若い男になった。

 ギャゾはいそいそとダンジョンボックスから服を取り出し着こむ。

 ギャゾの擬人化はほとんど人間の姿と変わらないが、肩甲骨辺りにに小さな羽毛が生えていた。


 この日は深夜まで語らい続けた。




 翌日


 俺達はダンジョンマスターの交流の為に用意された大きな会場に居た。

 俺は一応姿を元の龍の姿に戻し空間を漂う。


 皆は俺の事を気にはしているが話しかけては来ない。

 どうしたものかと悩んでいると、大きな赤トカゲがまっすぐ俺に向かって歩んてくる。

 周りはざわざわと俺とその赤トカゲの様子を交互に伺っている。


「私、Cランクダンジョンのマスターをしておりますレッドリザードのマルガスと申します。

どうかお見知りおきを」


「俺はSSランクダンジョンマスターのディアガンです」


「存じております。

伝説の聖龍様であられますディアガン様。

一つ伺いたいのですが、ディアガン様のダンジョンモンスターはドラゴンでお間違いないでしょうか」


 マルガスの言葉に会場は静まる。

 すべての目が俺達を注目し俺の返答を聞き入ろうとしている。

 どうせそのうち広まるだろうと俺は素直に答えた。


「確かに、俺のダンジョンはドラゴンが主体だがそれがどうかしたか?」


 おおおおおお!!っと会場が盛り上がる。

 何がそんなに興奮するだと首を傾げていると、マルガスは意を決した顔で俺に願う。


「レッドドラゴンを1匹お譲り頂けないでしょうか!!」


 そう言って頭を下げた。


 いきなりそんな事を言われて驚き、どうしようかと悩む。


「ドラゴンはこの世界ではどれほどの存在だ?」


「伝説の龍に次ぐ最強の一角です。

絶大な力を有していて、一度人里に現れればダンジョンと冒険者と軍が総力を上げなければならない程でしょう。

この世界では頂点に君臨するモノの一つです」


「そ、そうなのか……。

そのレッドドラゴンを譲渡したとして、どうするつもりだ?」


「ダンジョン最下層を守るボスにしようと思います」


「それでは、対価は?」


「……私が召喚できるリザードマン系のモンスターを全てで如何でしょうか?」


 周囲は固唾を呑んど見守る。

 俺はその対価に見合うかメリット等を考える。

 今はうちもダンジョンにモンスターの種類が欲しいから願ってもない申し出だけどレッドドラゴンと見合うかと考えると心が傾かない。


「レッサードラゴンだな。

大事に育てていけば立派なドラゴンになるだろう。

それにレッサードラゴンでもうちの大魔境で最奥でもやっていける程に力はある。

どうだ?」


 今度はマルガスが考える。

 う~んと長く長く考えて出した結論は……取引の成立だった。


 

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