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諸王国会議(3)


 翌日、ついに会議本番を迎える。

 俺とルーロン国王は案内され共に会場へ向かった。

 大きな部屋に巨大な円テーブル、まだ疎らに人が席に付きダンジョンマスターはその人の後に佇む。


「ルーロン王国様はコチラになります」


 席には国のネームプレートが置かれていて、右隣はリールムル王国、左がサヴァント王国だ。

 リールムル王国を中心に西方諸国が固まっている。


 続々と各国の要人とダンジョンマスターが集まり、そして、揃った。


 隣のリールムル王が立ち上がる。


「今回会議の議長を努めますリールムル王国だ。

例年に倣って進行していきたいたいと思う。

先ずは各国のダンジョンついて、新しく発生したダンジョンについてだ。

西方から報告してもらおう」


 チラっとルーロン国王を見て、王様は立ち上がりリールムル王は座る。


「それでは僭越ながら報告します。

二月前に我が国初となるダンジョンが発生しました。

ダンジョン名は【聖龍のダンジョン】。

ダンジョンマスターは後ろに居ります聖龍様です」


 昨日挨拶を交わした者以外がどよめく。

 俺は浮き上がり周りを見渡す。

 所々から生唾を飲み込む音が聞こえる程に会場が静まり返った。


「今紹介に預かったダンジョンマスターのディアガンだ。

種族は聖龍で、生まれてまだ二月の若輩者だがよろしく頼む」


 簡単に挨拶を済ませて王様の後ろに佇む。

 数瞬おいて、大きなざわめきが起こる。

 ほぼ全てから視線を集めたルーロン王は雰囲気に圧倒され萎縮する。

 西方側と東方側からは祝福されるが、南方は俺達を観察し北方の帝国側は忌々しげに睨みつけてきた。


 リールムル王が場を治め、会議は進行した。

 西方で発生したダンジョンは俺のだけ。

 東方は無し、南方は一つ、北方は無しという結果になった。


 その後もダンジョンの事についての報告だけでほぼ一日が終わった。

 印象としては定例報告会議だけど、ルーロン王が言うには毎年会議一日目はこの調子で、本番は二日目以降だと言う。

 そして、明日からはダンジョンマスターは会議に参加する必要は無いとの事だった。


 部屋に戻ると結界内に居る子供達が俺に駆け寄りたそうにしている。

 守っていた結界を解くと、一斉に俺に駆け寄ってくる。

 もう俺を警戒する様子はなく、子供達は俺に懐いていた。


「帰りなさいませご主人様」


 ミーシャはそう言って俺に頭を下げる。


「俺はお前の主人になってないからご主人様は辞めろって。

それより問題は無かったか?」


「はい、問題は何もありませんでした。

皆も大人しくご主人様のお帰りを待ってました!」


 ミーシャの返答に子供達は「まってた~」とか「お仕事お疲れ様~」と一斉に言い始め、騒がしいが思わず頬が緩む気分だ。


 子供達を伴いベッドに降り立ち寝っ転がると、子供達は俺の上に登ったり跨ったりと遊び始める。

 その様子にミーシャは一緒に遊びたそうにウズウズしているが俺の側ですわっているだけだ。


 何を言っても強情だから諦め俺は子供達を遊ばせ瞼を閉じた。





 翌日、子供達に惣菜パンと牛乳を与えてのんびりしていると、部屋に人が来た。

 エデルが対応すると来たのはダンジョンマスターだという。

 入室を許可すると皇国のミカゲとリールムルのギャゾ、それと二尾の妖艶な狐が部屋に入ってきた。


「おお~!!

ミカゲにギャゾ!!

良く来てくれた!!

そちらは?」


「私はモミジと申します。

どうぞ良しなに~」


 2つのフワフワもさもさな尻尾を揺らしながら狐の女は応える。


「ディーくん、一昨日言ったもう一人の同郷がこのモミジだよ」


「おお!!

そうなのか!!

俺はディアガンだ。

気軽にディーとでも呼んで欲しい」


 子供達はなんの事かわからずポカーンとしている。


「それより君ってそんな趣味なのかい?」


 ミカゲにそう言われてなんのことか分からず自分を見てみると、獣人の子供達が俺に跨ったりして遊んでいる所だった。


「ち、違う!!

この子達はこの国に来る途中で拾った違法奴隷と言うやつらしいんだよ!!

会議の間に大獣国の王に引き渡すまでは俺が面倒見てたの!!

決して事案案件とかじゃないぞ!?」


「何慌ててるのさ。

逆に怪しいよ?

それにこの世界ではそういう性癖は貴族には多いよ」


「そうなのか。

でも断じて俺はそういう趣味じゃないからな!?」


 ミカゲはニヤニヤして楽しそうにしてるしこれは完全にイジられるパターンだと思い口を閉じた。


「それより今回は俺達元日本人組で交友を深めようって話だろ。

そのへんにして話そう」


 ギャゾがそう言い、俺達はお互いにダンジョンアイテム召喚でツマミと酒を出しあい宴会を始めた。

 それぞれが日本の何処出身だとか日本の思い出等を語った。


「死んで神様に会って転生するって聞かされた時は勇者になるんだと思ったのに聖龍なんてものになって、しかもダンジョンマスターなんて職業になって驚いたよホント」


「あはは!

僕は最初から人間だったから特に抵抗は無かったかな。

それに擬人化珠かあれば人になれるじゃん」


「高いよ!

5000万だよ!

今はダンジョン開発していかなきゃいけないから当分先かな~」


「ディアガンさんは生まれたばかりですもんね。

5000万はまだ手が出せませんよね。

私はこの妖狐という種族で幻術が得意なので幻術で人の姿になれたりしますが」


「俺も頑張って5000万貯めて擬人化珠買ったよ。

まあ人間の姿の方が何かと便利だよな」


「羨ましい!

俺こんな種族になっちゃったから行く先々でリアクションとかもううんざりだよ……」


「確かに聖龍は伝説だからね。

まあこうして出会った事だしこれ上げるよ」


 ミカゲがポーンッと琥珀の石を投げる。


「これは?」


「擬人化珠」


「……マジで!?

いいの!?」


「僕DP有り余ってるしね。

遠慮しなくていいよ」


 と言うことで有り難く使わせてもらった。


 自分の胸に当てれば自動的に吸収され、スキルを獲得出来るのだとか。

 吸収しステータスを見るとしっかりとスキルに擬人化が追加されていた。


「それじゃあ早速見せてよ!」


 ミカゲはワクワクした様子だ。


 俺もワクワクしながら擬人化を発動した。




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