出会い
(お前に教えるのは、これくらいで充分だろ)
背中の翼をはためかせながら薫は飛んでいた。
頭の声にいろいろと教えてもらった。
まず、名前はウィルザで龍らしい。
まず、この世界はアルカディアというらしい。
ここでは、人と龍は共生しているという。
地球の本では、恐るべき存在として恐れられている龍と共生しているとは薫は驚いていた。
そして、この世界では龍と契約した者がいる。
彼らは、【契約士】と呼ばれている。薫もその一人になったわけだ。
契約したものは、基本的にその龍の力を扱うことができる。
飛ぶことも例外ではない。また、龍も自分の意思で力を行使することができる。
現在、翼はウィルザが動かしている。
(まぁ、みんな仲良しってわけではないから、無闇には近付くな)
(うん、ありがとう)
あと、契約士と契約龍はテレパシーで会話できるとも教わった。
そのまま、テレパシーで軽い会話をしながら数分で町についた。
途中何回龍とすれ違ったが、誰も攻撃はしてこなかった。
(でかい町だね)
(一応主要都市だからな)
町の名前は、メルガン。
かなり大きな町で、端が霞んで見える。人もかなり多い。
(この翼僕も使えるんだよね?)
(あぁ、気を付けろよ)
ウィルザの気配が背中から薄れていく。
それと同時に背中に神経を集中させる。すると、緩まった翼の動きがまた早くなる。
ゆっくり高度を落とすイメージを思い浮かべ、降下する。
みんな、慣れているのだろう。
薫のことを見つける人もいるが、みんなそのまま歩いていく。
順調の高度を落としていたが、町を見て気がそれたその時。
(うわぁぁぁぁぁ)
(言わんこっちゃっない)
翼が屋根に当たりそのまま地面に落下した。
「いててててて、、、」
後頭部をさすりながら起き上がった薫に誰かが声をかけた。
「あの、薫さんですか?」
声がした方に振り返ると、薫の世界は止まった。
そこに、居たのは一人の女性。
金髪の髪を腰当たりまで伸ばし、瞳がきれいなエメラルドグリーン。
背中には龍の翼が生えており、契約士だというのがわかる。
ショートパンツにへそがでる半袖を身に纏い足はハイソックスを履いている。
その女性は薫が見てきた中で、一番美しかった。
「私の名前は、エイル・フィルミア。貴方にお話があるの」
薫はエイルを見つめたまま、頷いた。