おばあちゃんといっしよ
介護あるある
介護してる人にはわかる!ってなると思うんだけど
我が家だけか?
まぁ、くすっと笑ってもらえたらいい
93歳になる祖母と二人で暮らしている。
人間、93年も生きると色々凄いことになる。
身体は元気である。
医師にも100歳まで生きるかもねと言われた。
血液検査はオールクリア、私より結果が良好なぐらいだ。
ご飯も食べる、よく食べる。
焼き肉などすれば、野菜より肉を食う。もりもり食う。
こりゃ、100まで生きるな……と母と話す。
母が自分のほうが先に死にそうだと言うので
アレをおいて逝くのはよしてくれ!!と叫ぶ。
よしてくれ、あんなの遺されても私には管理できない……
母とは理由あって別居である。
町内に別に家があるので、私が祖母と二人で暮らしている。
朝、仕事に出かけ、夕方祖母を迎えに行く
夕飯は母の家で食べて、自宅に戻る生活だ。
昼間だけでも母の所に居てくれれば、安心だし私も楽だが
祖母は頑なに拒否している。
昼間、一人でボケた婆さんが何をしているのかと言えば
お茶のみである。
親切な近所の人が様子を見がてら、お茶のみに来てくれる。
家族でさえうんざりする、無限ループの話に
一日付き合ってくれるのだから感謝しかない。
誰も来ない日は畑をいじり、草をむしっている。
危ないから辞めてほしいのだが、やめてくれない。
オレはオメェらが出来ねえからやってやってんだ!!
ぐらいの考えて、もりもり野菜を作っているが
だいぶ頭もキテるので、野菜つくりも失敗が多い。
買った方が安いよ……って思うのだが、とめようが無いので
好きにさせている。
畑を耕すのも、ご近所さんが機械を出してくれる。
他人様に迷惑かけてまで作らなくてもいいんじゃないの?
と言えば
迷惑なんかかけてないとのたまう。
迷惑以外のなにものもかけてない。
お礼の品を持って、事あるごとにご近所を巡るのだが
「たまに見に行くけど、畑で死んでたら諦めろよ!大丈夫だ!たまに見とくから!」
と、お言葉を頂く。
大丈夫諦めてるから……
だって、誰も止められないもん。
本当に、ご近所さんには感謝しかない。
ありがたい。
祖父母と暮らしたことのない人に、ボケた老人と暮らす生活は想像がつかないと思う。
ボケの末期は、物が無くなった、泥棒が入った、男が来た!の3点だと思う。
我が家の祖母は中期ではないか
物が無くなってもとりあえず探すことはできるし、誰かに盗られたとは騒がない。
末期より中期の方がマシか?と思うかもしれないが
中途半端にしっかりしてて中途半端にボケると、余計に酷い。
なにせ、自分はしっかりしていると思っているのだから……
老人はこだわりが強くなる。
どういう理屈なのかさっぱりな、謎な理屈をとても大事にしている。
我が家の祖父母は、80代から紙パンツを利用していた。
母が曽祖父の介護に手を焼いていたから、祖父母には早くから
紙パンツに慣らすために、様々な紙パンツを購入し
試着させ、これぞ!!と言う一品に出会った。
それは、花王リリーフまるで下着である。
品名の通り、この紙パンツはゴワゴワせず履いてられると祖父母に好評だった。
二人はずっとこの紙パンツを愛用しているのだが
これが、私にとってある悲劇をもたらす物だと誰か想像したか……
それはまだ、祖父が生きている頃だった。
我が家は風呂の順番が決まっていた。
一番風呂は祖父、二番目は祖母、私は一番最後。
両親が同居していたときは、三番目以降は決まってなかったが
一番二番は必ず祖父母だった。
私が今も祖母の後に入っているのは、何かあったときの為と言う理由もあるのだが……
ある日、私は祖母を全身丸洗いすべく
祖母が風呂に入ってしばらくしてから、風呂場に突入した。
80代中盤から、髪を洗うのも体を洗うのも適当になった祖母が
翌日、病院に行くので丸洗いを決行したのである。
だが、風呂場に突入すると脱衣所に何故か紙パンツがある。
いつも、ゴミ箱に紙にくるんで捨てられるはずの使用済み紙パンツが
脱衣所に置いてあるのである。
「なんでパンツあんの?」
「後で捨てんだぁ」
「ふーん?」
その時は、捨てるの忘れたから後からやるのかな?ぐらいに思っていたのだが
悲劇はその後やって来た
「温まったらあがって、お湯抜くから」
風呂の中で丸洗いして、祖母を風呂からだしシャワーで泡を落とし
湯を抜きつつ、自分の為に再び湯を溜めるため
私は風呂を洗っていた。
シャワーで泡を落とされ、さっぱりした祖母はよたよたと
脱衣所に向かい……
己が脱いだ使用済みの紙パンツの上に足を置いたのである……
脱衣所にバスマットが無かったわけではない……
祖父はバスマットでちゃんと足を拭いていた。
「な、なにやってんの!!汚い!!!」
驚愕する私を尻目に祖母は呑気に言うではないか
「汚くなんかねぇ、外っかわだもん」
「汚いに決まってるでしょ!!一日履いてた紙パンツなんか!!!なんでそんなので足ふかなきゃならないの!!」
「下濡れっから」
もうね、絶望ですよ。
貴女はいつから、紙パンツで足拭いてたの?
その足で家の中、歩いていたの?
バカなの?
なんのためのバスマットなの?
そりゃ、怒りましたよ。
禄なことしないと、やめさせました、使用済み紙パンツで足ふくの……
なんの理由かわかりませんが、バスマット濡らしたくないんだって……
バスマットさんはそれが仕事なんよ?
過去数回この騒ぎは起きてます。
あとやんないと約束するけど、またやるの……
バスマットが濡れるのが嫌ならと、珪藻土マット購入したけど
足跡が無いから、きっと今も紙パンツで足拭いてるんじゃないかなぁと思います。
でもね、怒鳴ってもなだめてもすかしても
5分前の事を忘れる人に何を言っても無駄なんだよね。
脱衣所には
『オムツで足ふくな!』
と、デカデカと張り紙を貼っているのだが
都合の悪いものは見えなくなるから見てないと思われる。
老人の尊厳云々言うが、介護者の衛生と尊厳を守らせてはくれまいか……
日々、消毒用アルコールとクイックルワイパーで拭いてるけどさ
いい気分ではない。
婆さんの使用済み紙パンツで拭いた足で、家中歩かれるこっちの身にも
なって欲しい。
外側は綺麗だ!って、そんな訳あるか!!
謎な理屈でこだわりである。
こんな悲しい悲劇がまだまだある
シモの悲劇は精神を抉る。
今日も私は使用済み紙パンツで足を拭いた祖母が
歩き回った家に帰るのである。
人間諦めって大事よ…精神を守るために……
衛生?衛生ってなんだっけ…
知らなーい(´;ω;`)