第9話〜端的な誘惑〜
遅くなりました。
✳︎今回のお話には若干のエロ要素があります。
苦手な方はお控えください。
そして短いです。すいません。
ピピピピ、ピピピピ、ピピピーーー。
その音に反応し、目覚ましのスイッチ部分をたたくように押す。
俺は、今日もいつもと変わらない電子音で目を覚ました。
結愛に衝撃の告白をされた翌日。俺は、昨日いろいろあったせいかいつもより早くベッドに横になった。
もちろん、朝のツンデレ事件や、風呂の一件で精神的にキャパオーバーすぎて疲れたというのもあるが、今感じている疲れの大部分は「その後」のことで生じているのだ。
結愛は風呂から出た以降、今までとは比べものにならないほど俺に甘えてき始めたのだ。
ずっと手を繋いでいるのは当たり前。風呂から出ても常に俺にハグを要求したり、すきあらば「お兄ちゃんっ、ちゅうしよっ?」と言って俺の唇を狙ってくる。しかもそれを断ると機嫌を損ねて俺の体のいろんなところに「キスマーク」をつけようとするのだから余計たちが悪い。
しかも寝る直前、結愛が「一緒に寝ようよっ、お兄ちゃんっ」とわがまま全開で駄々をこねてきたが、それだけは無理っ!となんとか説得をしていると唐突に「あ、そっかっ、そうゆうことかっ!」と勝手に納得して、そそくさと自分の部屋に戻って行った。
なにが「そうゆうこと」なのかは全くわからないが、それまでのことを考えると、素直に自分の部屋に戻ってくれただけで良しとしようと思い、俺はようやく自分の部屋に入ったのだ。
一体なにがここまで結愛を変えてしまったのか・・・。
・・・まあ、そうなった原因は考えるまでもないか。
昨日、結愛が俺に言ったこと。お風呂の熱さと恥ずかしさが合わさってか、今まで見たこともないくらい顔を赤く染め言った「お兄ちゃんが異性として好き」という純粋な告白。しかし、義理とは言えど俺たちは兄妹。そんな関係にはなれるはずもないし、もちろん結愛もそんなことはわかっているはずだ。
でも、それでも結愛はそう言ってくれた。それはつまり結愛の気持ちは生半可なものではなく、まぎれもない本気だということ。
そして、俺が答えを濁した時、結愛はこうも言っていた。
「つまり私が誘惑してお兄ちゃんを私に惚れさせて、恋に落としちゃえばいんだよねっ!」
細部までは覚えてないが、こんな感じのニュアンスだったはずだ。
きっと、昨日の一連の「度がすぎる甘え」は結愛なりの誘惑だったのだろう。
どこをとっても、結愛は俺に対して本気だった。
そんな結愛に、俺はいったいどう答えてやればいいのだろうか・・・。
その前に、俺は結愛のことをどう思っているのだろうか。
昨日の結愛に甘えられることは、口では断っていたものの、不思議と嫌ではなかった。
普通の兄妹はこんなことは気持ち悪くてしないというが、俺は気持ち悪いとは全く思ったことがない。
それは、俺が結愛のことを「可愛い妹」として認識しているから?それともーーー。
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピーーー。
「!」
さっきアラームを止めて一定時間が経ったのか、スヌーズ機能のあるアラームが再び音を発した。
そうだっ、とりあえずそのことは今は置いておいて、朝ごはん作りに行かないとーー。
とそこで、俺は自分の腰あたりに馬乗りになった下着姿の妹と目があった。
「・・・なにしてるんだ・・・結愛?」
テンパりすぎて逆に冷静になった俺は慎重にそうたずねる。
すると俺にまたがる妹はキョトンとした顔で、
「なにって、夜這いに決まってるじゃんっ。お兄ちゃん、私に夜這いされたかったから昨日私と一緒に寝なかったんでしょっ?」
「んなわけあるかっ、ボケっ!?」
気づいたときには素でそうツッコミをしていた。
てか昨日の「そうゆうことかっ!」て全然そういうことじゃねえよっ!なにを変に納得してたんだよ!?
「ぼっ、ボケってなにっ、お兄ちゃんっ!?私だって結構恥ずかしいんだよっ!?こんな姿で、大好きな人にまたがってっ!?そんな健気な女の子を見てボケってっ、それはないよっ!?」
対する結愛は俺のツッコミに対しぽかぽかと俺のお腹を殴りながらそう抵抗してきた。
というかやはり、ここまでするということは結愛はガチで俺のことを誘惑して落とそうとしてるぞっ!?
とその事実にようやく危機感を覚えた俺は結愛に、
「と、とにかくっ、早くそこをどけっ!朝の準備が遅れるっ!」
と、退くように促す。
しかし結愛は、
「そっ、それはダメっ!」
と俺を逃すまいとその小さな体で俺にムギュッと抱きついてくる。
「おいっ、離れろってっ、結愛っ!?」
「いやっ!・・・だってお兄ちゃんっ・・・」
「お、俺がどうかしたのかよ・・・」
とそこで結愛はさっきまでの一生懸命な表情とは一転、余裕ある顔と声でこう言った。
「だって、お兄ちゃんっ・・・こうふんっ、してるんでしょっ?」
「ッ!?」
そう言いながら結愛は意識するかのように腰を擦り付けてくる。
「んっ・・・はっ、ふんっ!・・・男の子は毎朝生理現象でこうなるって知ってたけど、本当だったんだね・・・?」
な、なななななななななッーー!?
マジでなにがあったっ!?あれだけ清純な妹だったのに、なんでいきなりこんなキャラ変しちゃったのッ!?てか結愛の「誘惑」いきなり直接的すぎないッ!?もっと可愛いものだと思ってたんだけど!?しかもこれって完全に俺のあそこをロックオンしてますよねっ!?
ちょっと〜〜っ、ちょっと〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?
しかし、俺の焦りに結愛は気づかず、未だに行為を続ける。
「やっ、やっぱりっ、好きな人がそんな気持ちだったらっ、はぁんっ、わっ、私のっーー」
とそこで言葉を途切れさせ、一回深呼吸するとすっかり赤くなった顔で見つめてきながら、
「私の体でっ、しっ、シテも、いいよっ・・・?」
「エロすぎんだろッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
義理の妹にそんな感想を発した俺は、「ほっ、本当にっ!?」と喜ぶ結愛を尻目に彼女の恐ろしさを見にしみて体験したのだった。
そして、結愛に対する認識を少し、いや、大幅に改めることにしたのだった。
結愛は、俺が思っていた以上に、俺を攻略しようとしているという認識に。
唐突に痴女に変わる結愛。
・・・良い。
いつもながら無理矢理感ありますがご了承ください
。今回は特に。
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