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俺のツンデレ妹は嫉妬深い  作者: Iliya
プロローグ〜俺の妹がこうなったわけ〜
6/14

第6話〜知らない感情〜

今更だけど、ツンデレってどう書けばいいの!?

Side結愛



「ごめん、今日は朝練ちょっと早めに始まるからもう行かなきゃ、じゃあ行ってきますっ」


私は朝ごはんの食器を片付けずに行くことを申し訳なく思いつつ、大好きなお兄ちゃんが残る我が家を後にした。




私が家を出発して約15分後、私とお兄ちゃんが通う私立自由ヶ崎学園が見えてくる。

私は、中高一貫校であるこの学園の高等部一学年の属していて、お兄ちゃんは私の一個上の高等部第二学年に所属している。

去年までは私が中等部所属だったのでお兄ちゃんのいる校舎とは離れ離れだったけど、今は同じ校舎の中で学園生活を送れているのだ。

やっぱり同じ校舎だと会いたい時にすぐに会いに行けるし、それにお兄ちゃんに近づこうとするクソ女どもの監視も前よりしやすくなったりと、私にとってはいいことづくめなのだ。

とそんなことを考えながら、私は今日の朝のことを思い出す。

お兄ちゃん、私がリビングに行った時には平然とした感じでご飯を作ってたから、てっきり私の下着のことはもう気にしてないのかと不安になっちゃったっ。

でもその後、照れながら下着を見ちゃったことについて謝ってくるなんて・・・っ。

ちゃ〜んと覚えてたんだねっ、嬉しいな〜っ。

てゆうか私も、「気にしてくれてたの!?」とか変な返事返しちゃったよ。

まあ、朝の作戦は一応成功だったのかな?

うん、そう信じとこうっ!

そう脳内であれこれ想像していると、いつの間にか私の所属する陸上部の部室がある部室棟の前に到着していた。

私は部室棟の階段を上がり、「女子陸上部」と書かれたドアを開ける。


「失礼しますっ」


「ん?ああ、おはよう結愛ちゃん」


「はい、おはようございます、橋田先輩っ」


私より一足早く部室にきていた高三の橋田 沙優はしださゆ先輩が挨拶をしてくれる。

肩にかかるほどの綺麗な黒髪と、モデルを思わせるような綺麗な美脚が輝かしい陸上部の部長さんだ。


「あれ、まで先輩以外には誰も来ていないんですか?」


私は不意に思った疑問を口にする。

部室を見てもまだ私と先輩の2人以外の姿は見えないけど・・・。

すると、橋田先輩は、私の疑問にこう答えてくれた。


「他の皆はもう自主練始めてるよ。結愛ちゃんも、早く着替えてちょっと走って来たら?」


「あ、そうなんですかっ、わかりましたっ」


私は先輩方にそう告げると自分のロッカーに荷物を詰めた後、陸上用の服に着替え、もうみんなや先輩方が居るであろうトラックへと走って行った。

そういえば、部長は部室で何をやってたんだろう?



ーーーーーーーーーーーー

部活も終わり、私は自分のクラス「1ーE」クラスへと足を進める。

私が高校生になってもうすぐで一ヶ月。

正直、あのクラスは私にとって居心地が悪かった。

そろそろクラスに馴染めてもいい時期だけど、私はまだあのクラスに馴染めていないのだ。

私の髪の毛は、ママから譲り受けた水色の髪の毛だ。

私はこの髪の色が大好きだし、お兄ちゃんも「透き通るように綺麗で結愛にぴったりだ」と言ってくれる。

でも、周りの人たちから見れば、浮いて居る存在なのは明らかだ。

話しかけることに躊躇してしまう理由も、分からなくもない。

・・・思い返してみると、私は自分の力で友達を作ったことがない。

私が孤独で居る時、いつも私に友達を作るチャンスを与えてくれたのは、お兄ちゃんだった。

そのお兄ちゃんのおかげで私はかけがえのない友達を作ることができたのだ。

なんの勘違いか、お兄ちゃんは私のことを社交性のある子と思っているみたいだけど、私はお兄ちゃんがいないと何にもできないダメダメ妹なのだ。

まあ、これからもお兄ちゃんと離れる予定はないし、特に問題視はしてないけどねっ。

でも、これ以上お兄ちゃんに迷惑をかけたくないというのも事実だ。

だからこの件についてはお兄ちゃんに余計な心配をかけると思って、自分でなんとかしてみようと思ったんだけど・・・。未だうまくいっていない。

どうしようかと迷っている中、私はちょうど到着した自分のクラスのドアを開ける。

何人かのクラスメートが私をちらりと見たが、その後、何事もなかったかのように友達と話し出した。

やっぱりもう、遅いのかな・・・?

今から友達を作るって。

あたしはそんな不安に駆られつつ窓際の自分の席に着く。

私はお兄ちゃんさえいてくれればそれでいいけど、やっぱり、楽しくおしゃべりをするクラスメートを見ると、少し、ほんの少しだけ羨ましいと思っちゃう。

でも、このクラスには付属中の頃の友達はいないし・・・。潔く諦めるのも、たまには大切かな?

と思った瞬間。


「あ、あの・・・雪平・・・さんっ」


「えっ?」


なんの前触れもなくの声をかけて来たのは、髪の長さがセミロングほどの女の子ーー確か柚月ゆづきという名前だった気がする。


「あ、あの、雪平さんに用があるって人がきてますけど・・・?」


と言いながら、柚月さんはドアの方を指差す。

そこには見覚えのある大好きなシルエットがあった。

お、お兄ちゃんっ!?

なんで私のクラスにっ!?

と驚いた瞬間、お兄ちゃんが一歩教室の中に入ってきた。

クラスメートはみんな、突然現れた先輩に驚き黙ってしまっている。

お兄ちゃんは、「やってしまったっ」というような顔をしているが、その後、誰かを探すように教室を見渡す。

そして、私の姿を見つけると、すぐさま私の席の近くへと歩いてくる。

その手には、可愛らしいピンクの包みが握り締められていた。

それって、私のお弁当っ?

あ、そっか、今日急いで家を出ていったから持って行くの忘れちゃったんだっ!

それをわざわざ私のために持ってきてくれたんだ・・・。

そんな些細なことでも、私の幸せメーターはグンッと上昇する。

これはちゃんとありがとうって伝えなきゃっ!

で、でも、どうしようっ、なんだか恥ずかしいし、しかもみんな注目してる中で「ありがとう」って、言いづらいっ!

でもでも、ちゃんとありがとうって言わなきゃっ!

でもでも、やっぱり人前ってゆうのは恥ずかしいしっ!?

でもでも、でもでもっ!?

混乱状態にある中、お兄ちゃんは私に声をかけてくれる。


「よ、結愛。忘れ物だーー」


「何勝手に私のクラスに入ってきてんだよッ、バカ兄貴ッ!」


その時、感謝の念を伝えるつもりだった私の口は、素直になれない気持ちのせいで予想よりはるかに刺々しい言葉に変わってしまった。

瞬間、お兄ちゃんは驚いたような顔をする。

そしてすぐに心の中で後悔の念が生まれる。

ち、違うっ、違うのお兄ちゃんっ、本当はそんなこと言うつもりじゃなかったのっ、ただ私はありがとうって言いたいだけなのっ、なのにッ!

お兄ちゃんが何か言っていたような気がするが、私の耳には届かなかった。

そんなことよりッ!

・・・・・・なんでっ、なんで「ありがとう」って簡単な言葉が、出てこないのッ・・・。

しかし、そんな胸の内とは裏腹に、トゲのある言葉が私の口から溢れてしまう。


「ちょっと、聞いてるッ!?」


そんな言葉なんて使いたくないっ、そんなお兄ちゃんの顔は見たくないっ・・・。

でも・・・止まらない。


「私のクラスに何しにきたの!?何か用があるからきたんでしょ!?」


違う違う違うッ!!なんでここにいるかなんて私はもうわかってるでしょ!?

お兄ちゃんはっ、私のお弁当を届けるためにっ、私のためにっ、ここにいるんだってッ!

早くありがとうって伝えなよっ、私っ!


しかし、そんな心の声が聞こえているはずなく


「これ、結愛が今朝忘れてった弁当。届けにきたんだけど」


うん、知ってる。知ってるよ・・・。

私は改めてその真実を知って、隠しきれず喜びが顔に出てしまう。

が、今の私が素直に喜べるわけがなく、

「わ、わざわざそんなの届けにきたの!?そんな不味い弁当いらないからっ!そんなもん食べるより購買のパンの方が美味しいからっ!もう帰ってっ!」


「ッ!結愛・・・」


ついに、言ってわはいけないことを言ってしまった。

いつもいつも毎日大変なのに、自分のしたいこともあるだろうに、文句の一つも言わず私のために作ってくれたお弁当。

その中身はいつも美味しくて、一口一口お兄ちゃんの愛情を感じながら食べるのが、私の楽しみにもなっていた。

誓ってもいい、そんなお兄ちゃんのお弁当が、不味いわけがない・・・。

なんで?どうして?どうしてこうもうまく自分の気持ちが言えないのっ?

つい最近まで、誰がいてもお兄ちゃんに自分の気持ちを言えてたはずなのにっ・・・。

私っ、一体どうしちゃったの・・・?

いやぁ、お兄ちゃんっ、そんな寂しそうな顔しないでっ・・・!いつもみたいにかっこいい顔で笑ってよっ・・・。

が、今兄にこんな顔をさせているのは自分の責任だとすぐに痛感する。

ごめんっ、ごめんね?お兄ちゃん・・・っ、私、本当はお兄ちゃんのこと好きで好きで好きで好きで大好きで、もう言葉では言い表せないほどにお兄ちゃんが好きだから・・・っ!

だから、こんな結愛を・・・っ。

嫌いに、ならないで・・・。

お兄ちゃんが足早に教室を去って行く中、私は後悔に押しつぶされていた。






今回は、初めて「ツンデレ」の「ツン」に目覚めた結愛のお話でした。

なんか話がまとまってない気がするけど、まあ、許してください・・・。


『感想など、お待ちしております』

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