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俺のツンデレ妹は嫉妬深い  作者: Iliya
プロローグ〜俺の妹がこうなったわけ〜
5/14

第5話〜昼休み〜

読者様から、感想をいただきました。

本当に嬉しいですっ!

これからも皆様に楽しんでいただけるように頑張ります。

俺は、今の状況を理解できていなかった。

今までずっとーー結愛が妹になったあの日からーーずっと優しく、結愛に接してきた。

妹のことは兄である自分が守ると小さい頃に誓った覚えもある。

そのおかげかどうかはわからないが、結愛は兄である俺のことを今でも「お兄ちゃん」と懐いてくれている。

普通の兄妹に比べて「ちょっと仲良過ぎじゃない?」と心配されるほどに、俺たちは仲良かった・・・はずなのだが・・・。


「なに勝手に私のクラスに入ってきてるんだよッ、バカ兄貴ッ!」


弁当箱を持ってきた俺に対し、結愛が放った言葉は、「とても仲のいい兄妹」には全く似合わない罵声だった。


「ど、どうしたんだ結愛・・・?いきなり・・・」


俺は突然のことに驚きつつ、なんとか言葉を発する。

なんだ?何があったんだっ?今日の朝まで「お兄ちゃん」と俺を呼んでくれた結愛はどこに行ったんだ?

てかバカ兄貴ってなんだ!?

展開がいきなりすぎて頭が全くついてこれてないぞっ!?


「ちょっと、聞いてるッ!?」


俺の脳内で絶賛混乱騒ぎになっているなか、結愛がイライラしたような声で俺に問う。


「私のクラスに何しにきたの!?何か用があるから来たんんでしょ!?」


と、その言葉で俺がここにきた理由を思い出す。


「そ、そうだ、はいこれ」


俺は結愛にお弁当の入った包みを渡す。


「これ、結愛が今朝忘れてったお弁当。届けにきたんだけど」


すると結愛は、今までの威勢は何処へやら、満面の笑みを浮かべたーーと思った瞬間。


「わ、わざわざそんなの届けにきたの!?そんな不味い弁当いらないからっ!そんなもん食べるより、購買のパンの方が100倍美味しいからっ!もう帰ってっ!」



「ッ!結愛・・・」


俺は、ここまで「俺」のことを拒否する結愛を、見たことがなかった。

兄妹になってから、一度も。

ずっと仲がいい・・・そう思ってきた。でも、それは俺の一方的な思い込みだったのかもしれない。

もしかしたら、家でも何か我慢してたのかもしれない。

それに気づいてあげられなかった俺は・・・・結愛のお兄ちゃん失格だ・・・。


「そ、そっか・・・。分かった。・・・結愛がそう言うなら俺はもう、戻るな・・・」


俺は隠しきれない動揺と未だかつてないほど傷を負った心がバレないよう、足早にその場を立ち去った。

結愛の、苦しそうな表情を見ることなく・・・。



〜昼休み〜


四時間目が終わり、昼休み。

普段ならひと時の休みに胸を躍らせるのだが、今日は全くそんな気分ではなかった。

今までずっと大事にしてきた妹に、ついに嫌われてしまったかもしれない。

それだけで、俺は死にたくなるような絶望感を味わっている。

ふとカバンを見ると、中には俺と結愛の2人分のお弁当箱が入っている。

結愛の分、どうしよ・・・。

結愛はいらないって言ってたし、俺には自分用のお弁当があるしな・・・。

はあ、誰か、このお弁当食べてくれないかなぁ・・・。

でも、そんな都合のいい人、いるわけないか・・・。

もういっそのこと、捨てちゃおうかな・・・。


いやッ、いるじゃないかっ!俺のお弁当を食べてくれる優しい人が!このクラスに!

俺は心当たりのある友人にいそいで声をかける。


「明日香っ、お前今日もカフェテリアで昼飯か!?」


「えっ!?ま、まぁ、そうだけど・・・」


いきなり声をかけられた明日香は驚きつつも、一応返事をしてくれる。


「もしかして、もう食券買っちゃった?」


「いや、これから買いに行く予定だけど?あ、もしかして優馬も今日はカフェなの?一緒に行く?」


すると明日香は期待した瞳でこちらを見てくる。


「いや、俺はカフェじゃないんだけどさ。それより明日香、今日の昼ごはんなんだけどさ・・・」


「うん」


明日香は不思議そうに首を傾げている。

言え、言うんだ悠真っ!勇気を出して!


「俺の弁当、一緒に食べない!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あぁ、美味しかったっ!」


「そうか?ならよかったよ」


「しかし、意外だったね、まさか悠真がランチの誘いをしてくれるなんて」


「しょ、しょうがないだろ!?急に妹がいらないって言ったから、そのお弁当の行き場に困ってたんだよ」


俺が明日香を誘った後、彼女は満面の笑みで俺の誘いを承諾してくれた。


「最近、カフェでご飯ばっかだったからさ、こういうのなんか新鮮っ」


しかも、結構好評だったらしく、美味しい美味しいと幸せそうに食べる様子を見ていて、こっちまで幸せな気分になった。


「ふう」


明日香はそうため息をつくと、長い髪の毛を搔き上げる。

それと同時にほのかなバニラの香りが鼻腔をくすぐる。


「それで、何があったの?」


「え?」


唐突の質問に俺はそんな声を出してしまう。


「え?じゃないでしょ。朝からの様子見てたら悠真、どこか変だったもん。授業中も心ここに在らずって感じだったし。悠真は隠してたつもりだろうけど、私にはそんなのお見通しなんだからねっ」


「す、すげぇ、伊達に友達やってないな・・・」


「でしょっ。で、何か悩みがあるなら、私が聞くよ?」


こんなこと、明日香に言っても・・・と内心思ったが、自分自身でも考えることに限界を感じていたため、今朝のことを簡潔に話した始めた。


「ーーーて感じだったんだけど、この場合、結愛は俺のことどう思ってるのかな?やっぱり、嫌い・・・なのかな」


「ふうん・・・なんか、恋人っぽい悩みだね」


「相談聞いて第一声がそれ!?」


「ふふっ、だって、女の子が自分のことどう思ってるのか気にしてる時点で・・・もう・・・ぷっ」


「な、なんだよっ!だって、妹に嫌われたくないんだからしょうがないじゃないかっ!」



急に恥ずかしくなってきたわいっ!


「ごめんごめんっ、でも、多分その結愛ちゃん?は悠真のこと嫌ってないと思うよ?」


「え?」


と、今まで笑っていた明日香が、急に真面目なトーンでそう口にする。


「多分、恥ずかしかったんじゃない?高校一年なんて難しいお年頃だもの。ほら、悠真ももし自分の妹が教室に堂々と入ってきてお弁当渡してきたら、結構恥ずかしいでしょ?」


「ま、まあ・・・」


「今回はその延長線上のことって考えとけばいいと思うよ?それでも、もし不安なら、今日家に帰ったとき聞いてみればいいんんじゃない?」


「ん・・・・確かに」


それじゃあ、あれはただの照れ隠しってことだったのか?

照れ隠しにしてはちょっと度がすぎてるような気がするけど・・・?


「どう、少しはすっきりした?」


「あ、あぁ、ありがとう、相談乗ってくれて。少しは気分が楽になったかも」


「そう、よかったわね。シスコン悠真くんっ」


「って、俺はシスコンじゃねーからっ!」


最後にそう付け足していくあたり、本当に彼女らしいと思った悠真であった。


次回はside結愛を予定しています。

設定ガバガバな部分多々ありますが、大目にみてください・・・。

近々登場人物の紹介回を設けたいと思っています。

『感想など、お待ちしております』

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