第2話〜愛が重い〜
Side結愛
ただいまの時刻、5時55分。
この時間は、いつもお兄ちゃんが私のことを起こしにきてくれる時間の少し前だ。
お兄ちゃんは私のことを、朝が弱いと勘違いしているみたいだけど、本当はただお兄ちゃんに起こしてもらいたいがために朝が弱い振りをしているだけ。
だって、少しの時間でも私のことを考えてて欲しいんだもん。
常にお兄ちゃんの頭の中では、「結愛のご飯作らなきゃ」とか「結愛のためにあれこれ用意しなきゃ」とか私のことだけを考えて欲しい。
現に私は、いつもお兄ちゃんのことを考えてるし。
うちの両親は2人揃って海外に仕事に行っていて、家にはなかなか帰ってこない。
だから必然的に私たち2人で家事をすることになったんだけど、なぜかお兄ちゃんは
「俺が1人でやるから、結愛は部活とか、自分のことに専念してね」
と言ってくれた。
もちろん悪い気がしたし、手伝おうとしたけど、お兄ちゃんは
「時々やってくれるのは嬉しいけど、毎日は結愛もきついでしょ、それに部活もあるんだから。
その分俺は部活動の日は結愛に比べて少ないし、心配しなくても大丈夫だよ」
といって、頭を撫でてくれた。
お兄ちゃんは、こういう人なのだ。
不慣れな家事なのに、私に迷惑をかけまいと、一生懸命になって頑張ってくれる。
「結愛が笑顔でいてくれることが、今の俺にとって一番幸せだよ」
私の笑顔のために、時には失敗しながらもめげずに。
そんなお兄ちゃんが、ううん、そんなお兄ちゃんだからこそ、大好き。
今度は私がお兄ちゃんを笑顔にさせてあげたい。
これからも、一生。
でも、私は自分の気持ちを素直に言えないのだ。
いざ、お兄ちゃんの目の前に立つと、そのかっこいい姿に毎度ノックアウトされてしまい、じぶんのおもってないことをいってしまう。
内心では、こんなに大好きなのに。
本当は今すぐ抱きついてお兄ちゃんにチュウしたいぐらい大好きなのに。
もちろんその後も大丈夫なくらい大好きだし!?
・・・・・・話が逸れたけど、とにかく、お兄ちゃんにはずっと私のことを考えてもらいたいのだ。
もちろん、その方法もすでに考えてある。
すると、そのとき、外からどんどんと階段を上がるお兄ちゃんの足音が耳に入る。
や、やばッ!早くしなきゃッ!
私は急いで今着ている黄色いパジャマのボタンを外していく。
理由はもちろん、お兄ちゃんに私の下着を見てもらうためだ。
見ちゃったら多分、お兄ちゃん、私の下着のこと忘れられないだろうなぁ。
お兄ちゃんも年頃の男子だし、きっと興奮してくれるはずっ!
そしてあわよくば、私の下着を見て興奮したお兄ちゃんが理性を保てずに私をーーーぐへへ。
って、いけないッ、早く寝たふりしないとッ。
そう思い私がもう一度ベッドに横になると、ちょうどお兄ちゃんが、ドアを開けて私の部屋に入ってきた。
「結愛、朝だぞ。早く起きないと朝ごはん冷めちゃうぞ〜」
そう言いながら私の体をゆっくりと揺すってくれる。
はあ〜もう好き好きッ!今すぐその手を掴んで思いっきり抱きしめたいッ!
と欲望丸出しの本音は隠しつつ、あたかも今起きたかのように体を起こしていく。
やばいッ、どきどきするッ!今から私の下着、お兄ちゃんに見せちゃうんだ・・・。
お兄ちゃんどんな反応するのかな。喜んでくれるかな?
それとも子供っぽい思われちゃうかな?
一応白の可愛いフリルのついた下着だけど・・・。
もしかしてもっとセクシーな下着とかの方がよかったかなッ!?
でも黒とかは持ってないし・・・・・・。
私はいろいろなことを考えながら寝起き風な声を出す。
「んッ・・・もうあさぁ・・・?」
「おはよう、結愛。もうすぐで6時過ぎちゃうぞ。早く起きないとーーッて!」
あッ、今完全に私の下着に気づいたっ、お兄ちゃん!
うわあ、めっちゃ顔真っ赤じゃん・・・。
そっかぁ・・・そんなによかったか・・・・・・。ぐへへ・・・。
お兄ちゃん、興奮してるなぁ〜。お兄ちゃん、よそ見してないでちゃんと目に焼き付けておくんだよっ、お兄ちゃんは女の子の下着なんていまもこれからも私のしか見れないんだからっ!
他の女なんかには絶対、絶っっっっっ対にお兄ちゃんは渡さないんだもんっ!
・・・・・・おっといけない、これで一応ミッションクリアッ。
あとは適当にごまかしておけば・・・
「お兄ちゃん、顔赤いけどどうしーーッ!」
と、今になって羞恥心という感情の波が一気に押し寄せてくる。
や、やばいッ・・・これよくよく考えたら。めちゃくちゃ恥ずかしッーー
そう思った瞬間、私の口からはしゅう恥心からの悲鳴が飛び出していた。
やはり私は。素直になれない。