今日の僕の物語
【Twitter企画14作目】
明日に僕は死ぬ。そして次の日、蘇る。
明日というその日を生きることの出来ない僕は一体なんだ?
今日は僕が生きている最期の日だ。毎回この日になるとさすがの僕でもやっぱりすこし、憂鬱になる。
明日に死ぬことを知っていて今日を全力で生きようとする僕の人間としての本能に嫌気がさす。
そんなことしてもどうせ明日は生きられないんだ。
僕は夢から覚めるとすぐにトイレで吐く。
毎回これだ。
まったく、自分で自分が嫌になる。息苦しい。何かが僕の中から出ていく感覚だ。なにか。僕という存在が全て出ていく。
そしてそのうち僕そのものが全て消えてしまう。あぁ、恐ろしいよ。怖い。怖い。怖い。でもなぜか気持ちいい。
しばらくすると僕の吐き気は収まった。吐いたことで収まった。吐きたかったから吐く。素晴らしいことだ。さっきまであったなにかがすっかり僕の中から消えてしまった。
自室に戻るとなにかの紙があった。
「なんだこれ」
僕はその内容も確認せずに捨てる。よくこんなことがあったような気がする。でもその時も全部捨ててきた。だいたい適当に書いた落書きだ。必要はない。
そして僕は絶望と一緒に今日を生きるのだ。
いつもと同じパンをかじった。すこし飽きてきたけどまだいける。うん。いつもと同じ味だ。
外はやっぱり雨が降っていた。僕が憂鬱になる原因のひとつだ。これのせいで僕はいっつもびしょ濡れになるのだ。あー。やってらんないよ。
それでも僕は外へ出た。昨日にやったことの結果を見守るためだ。結果は見えてるけどでも見ないわけにもいかないだろう。
傘を持っていけば濡れずに済むが、僕の家には傘が1本もないのだ。仕方がない。そういうことだ。
そうして、濡れながら目的地である公園まで向かう。
遠い。
公園の入り口は東西南北に1つづつあるが、いつもと同じく僕は東の入り口から入った。なかなかにこの公園は広い。余裕で東京ドームひとつ入る。しかし、僕はあのふたりをすぐに見つけた。
なんでかは僕にもわからない。しかし、すぐに見つけれたのはラッキーだ。見逃してしまえば僕はどう後悔してもしきれないほどの傷を負ってしまうのだ。まぁ、半分は冗談けどね。
雨のなか僕は静かにふたりの様子を伺う。このあと何が起こってもうまく対応するためだ。
ふたりの表情は傘で隠れてまったく見えない。しかし、僕はすこしだけ他人より耳が良いのだけが特技なんだ。僕は雨の雑音のなか、耳をすませる。
『───ねぇ。昨日のことだけど、、、』
男の声だ。やっぱり昨日のことについての話だったらしい。
『うん。わかってるよ』
こちらは女の声だ。この男女の間にあった昨日のこと。それについて話しているらしい。
『どう、、かな?』
さてどうなるか。
『、、、ごめん!』
女は同時に頭を下げた。
そして頭を戻す。
『やっぱり無理』
最後にそう言って女は歩いていった。
男は静かにこちらを見て、そしてなにも言わずに去っていった。
僕はすこし驚いたが、まぁ、見つかってないと思い、そして、これを見れたことに満足して帰った。
濡れた服が肌にはりついて僕はすこしだけため息を漏らした。
家に帰るともう時間は12時になっていた。
やれやれ。公園から家までが遠すぎるんだよ。まったくこんなんで最期の1日を終わらせてはいけないだろうに。なんで僕はこんなことやってるんだろう。
さて、次はなにをするんだっけな?
あ、もう、することないな。
じゃあ日記でも書いて寝るか。まだ昼だけど。
僕日記を開いた。あ、昨日のページになにも書いてない。はぁ。なにやってんだよ。僕は。
さーて。昨日はなにをしたかなー?
ん?
僕の頭が考えることをやめてしまった。わからなかったのだ。昨日に何があったのか、一体何をしたのか、そもそも昨日が『あった』のか。
僕は一昨日の日記を開いた。そこにはいまの僕の思っていることと同じようなことが綴られていた。
【なんで昨日の日記がないのか、なんで忘れているのか、なぜ『あった』のかわからないのか。そんなことを思い、ずっと前まで日記を遡っていった。しかし、どの日記も全てこれと同じ内容の日記が綴られていた。そこで僕は考えた。僕は寝ると1日ずっと眠っているんじゃないか。そして、僕はいつも同じことをしてるんじゃないかと。そして、そのことに気づかない。つまり、毎回記憶が消えている。僕はそう考えた。これが「今日の僕」の見解だ。この僕が一体何人目かはわからないが、そして次に来る僕にこの日記を託そう。全ては終わっていないのだ。始まってもいない。次の僕がこれから抜け出せることを祈る】
どういうことか僕には全てわかっていた。朝、あの夢をみたときから全部わかっていた。今日に僕が死ぬことも、昨日に僕が死んでいたことも。
でも、やっぱりわからないことがあった。
なんで今日にあのふたりが公園で話すことを知っていたのか。
どういうことなんだろうか。
そんなとき僕のスマホに連絡が入った。
【隣の駅に来てくれ】
ん?あ、わかった。つまり電車で隣町にこいとそういってるんだな。
【了解】
僕はそう送って駅に向かった。
準備をしよう。死ぬ準備をしよう。
薄暗い駅のホームで僕は静かに覚悟する。
さぁ、僕の死の足音が聞こえるぞ。
─────来た。
電車がホームに着く直前。
──フッ
僕の身体が浮いた。これが死なのか。死の瞬間か。
ゆっくりと世界が回っていく。ゆっくりと全てが動いている。
僕は隣から聞こえる電車の音を聞きながらゆっくりと振り向いた。そこにはあの男が立っていた。
僕の最期の記憶はその男の笑顔だった。
僕が死んだ。僕は殺された。
電車が通り、僕のすべてがばらばらになっていく。赤い液体がまわりに飛び散った。
その赤がここ全てを赤く染める。僕の存在を証明するように。僕の存在をこの世界に残すように。
男は静かに、しかし確実に笑っていた。
「あいつが悪いんだ。あいつのせいだ。」
男は言った。
「あいつのせいで彼女に振られた。」
くそ!くそ!くそ!
「あいつのせいであいつのせいであいつのせいであいつのせいであいつのせいであいつのせいであいつのせいで──────」
男は笑った。ただただ笑った。
ただ。永遠に続くかのように笑っていた。
最初で最期の日に僕はなにもできなかった。
でも、ひとつだけしたことがある。意味があるかはわからない。また次の僕が記憶を失い、同じことになるかもしれない。ずっと死ぬことだけを繰り返すだけかもしれない。
でもそれでも僕の個人的な意味を表そう。
メモを残した。
小さなメモだが気づいてほしい。さぁ頑張ってくれ次の僕。
【どこにも行くな】
いつかそのメモが届くと信じて今の僕は眠りについた。
ミーケんです!
今日はとっても遅くなりました。。。
すみません!
まぁ、それはそれとして、、、
今回はすこし長めです!
なんでこうなったかは謎です。
そしてこれはすこしだけ考えて書きました。
そのお陰でこんな時間になってしまったのです。
では!もう頭が働かないのでここでここで終わります!
では!また明日ー?