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第1話

 お久しぶりです、坂井です。

 まだ4話までしか出来ていませんが、物語の流れは纏まったので投稿を開始したいと思います。出来上がり次第投稿という形にします。

 1話3000文字前後で20話くらいで完結を目指したいと思います。是非最後までお付き合い下さい。今日は2話目も更新する予定です。

 これからよろしくお願いします。

 私は殺し屋。私の名は……教えられない。裏の世界で動く殺し屋にとって、自らの真の名を告げることなど出来るはずもないのだ。ただ、世間で呼ばれている名前が私にはある。所謂二つ名というやつだ。それもまた有名なため私だけを指す名前になるが、それだけなら教えてやろう。……私の二つ名は――


 インヴィクタ




『さあさあさあ! ついに始るぜ、野郎ども!』

『おおおおおおおおぉ――――ッ!』

『私たちは野郎じゃないわよぉ――ッ!』

『そして観客席にいる肥えた豚どもォッ! 金はちゃんと持ってきてるだろうなァッ!』

「私は豚じゃないぞぉ! アムアム、おかわりを持ってこい!」

「はっ、ただいま」

 私は今、ある魔闘技大会の参加者として、開会式に参加している。その理由は教えられない。殺し屋は秘密が多いのだ。すまない。

 ここは世界中にいる荒くれ者共が集う世界最高峰の裏舞台。そして世界で最も裏金が動く場所でもある。その名も――

『行くぜェ! 第六百十三回、《K(斬れ)! Y(焼け)! S(死んでけ)! この世とおさらば魔闘技大会》を始めるぜェッ!!』

『オオオオオオオオォ――――ッ!!!』

 世界一野蛮な魔闘技大会が始まる。




『まず初めにこの魔闘技大会の主人公である、司会者――俺の自己紹介から行くぜぇい! 俺の名はオレオレ! 俺はオレオレだ! 何時も詐欺と間違えられているオレオレだぜ!  悲しいぜ……。そして~、解説者は過去の大会で優勝経験のある――』

(わたくし)、アンジェリカよぉ~~!』

「出たな! 年齢詐欺のクソババァ!」

『今クソババァって言ったやつ出てこいやァ――ッ! 臓物を引き出してグッチャグチャのバキッバキにしてやるからカモォ――ン!!』

『クソババァは放っておいてゲブホォッ!?』

『ふふっ。二人目の解説者である絶世のイケメンとは俺のこと。その名も……………………ラインンンンハァァルトォオオオオ!』

「嘘つけェ――ッ! お前はマッスルだろうが!」

「そうだそうだ! 絶世のイケメンとは私のことだぞ!」

「お前は黙ってろ!」

『ふふふ。嫉妬の嵐が舞い込んでくる。イケメンとは……はっ、辛いものだ』

『えぇ~~、司会者復活したから進行役の紹介を終わるぞ。次はルール説明だ。アンジェリカ頼んだ。俺はトイレに行ってくる』

『どうせタバコでしょ。そこだけは律儀なのよね。さてそれじゃ、ルール説明を始めるわよん。ウフッ』

「キモッ!」

「歳を考えろ!」

『うっさいわね! 女はいつまでも乙女でいたいのよ! このすっとこどっこい!』

 ここの魔闘技大会のルールは至ってシンプルだ。予選は試合会場である半径五十メートルの円の中で百人の猛者たちが殺し合い、最後まで立っていた者が勝者。生き残った者のみが決勝トーナメントへとコマを進めるのだ。ちなみに試合会場と観客席の間は十メートルの距離があるが、その間にはマグマが波打っている。落ちたらひとたまりもない状態だ。生き残るには勝つしか無いそんなバトルロワイヤル形式だ。

『そうそう、場外失格は無いから、魔法で空を飛べる人や、マグマに落ちても平気な人たちはそこに逃げてもいいわよぉ~。ただし……』

 アンジェリカが空を指差す。私も含めて選手全員、観客全員が空を見上げる。そこには数十体のドラゴンが飛んでいた。観客への被害が気になるところだが、どうやら観客席全域に強力な障壁が張られているようだ。目には見えないが、よく知った魔力反応が見られる。

『簡単には逃さないわよぉ~。そしてマグマにも……』

 会場内の人すべてが視線をマグマに向ける。すると、マグマが大きく波打ち、魚タイプの大型の魔物が飛び上がる。

「あづ――っ!」

「死ぬ! 死ぬ!」

 魔物が飛び上がり着水することで、マグマが少し飛び散る。赤い飛沫は会場に降り注ぎ、この時点で負傷する者も相次いだ。私は光魔法の障壁を張り、飛び散るマグマから身を防いだ。これぐらい造作も無い。

『死にたくなければ強くありなさい! 勝ち残りなさい! 力こそがすべての世界よ!』

『次に(イケメン)から細かいルールを説明しよう』

「だからイケメンは私だ!」

「だからお前は黙ってろ! 猿轡(さるぐつわ)してやる」

 予選での敗北条件は死。もしくは降参(リザイン)宣言すること。死んだら命そこまでだが、最後まで勇敢に戦った戦士として名が刻まれる。降参した場合は転移魔法で待機所まで転移させられるが、尻尾巻いて逃げた負け犬のような汚名を着せられる。戦士として一生の恥を晒すこととなるのだ。だが、敗北条件など私には関係ないこと。この程度の試合、私には赤子のじゃれあいに過ぎない。勝つのは私だ。

『どっちを選ぶかはお前たちの覚悟次第だ! そして――』

 戦い方は自由。刃物や魔法は勿論、自らの召喚獣に戦わせること、共闘することも可能。会場に罠を仕掛けることも可。

『とにかく! 俺たちが思い浮かばないような方法で勝ち上がっても、文句は何一つとしてねえ! これは殺し合いだ! 勝者のみが是だ!』

『オオオオオオオオォ――――ッ!!!』

 野蛮な大会参加者たちの咆哮が響く。会場の空気はビリビリと震え、観客席までそれは届いた。なんとも耳障りな。

「なんという野蛮な者達だ。だが、それこそ血肉を求めるこの場にふさわしい! おい、酒の追加だ!」

「はっ、ただいま」

 野蛮な者達。私もそれに関してはあの糞豚たちと同じ意見だ。ただし、お前たち豚どもも汚らわしいがな。……おっと、これ以上は黙秘させてもらおう。

『全予選が終わったら、決勝トーナメントに移るぞ!』

『ええ、あんたたちに休んでいる暇なんてありはしないからね! 決勝トーナメントのルールも予選とほぼ同じ! 試合に審判がついて、勝敗は審判によって下されるわ! 決勝トーナメントでは勿論、予選を勝ち抜いた者同士の一対一で行われるわ!』

『今大会の参加人数は過去最高の三千二百人! 予選の回数も過去最高の三十二回行うぞ! つまり、決勝トーナメントは予選を勝ち上がった三十二人で行う! ここには馬鹿な奴も多いから、いちいち説明すんの疲れんぞ!』

 全くもってその通りだ。入場前に配られたパンフレットに大体の事は書いてあったというのに、説明しなくてはならない解説者が可愛そうだ。

 それにしても、たばこを吸いに行ったという、あの司会者(オレオレ)は随分遅いな。説明が面倒くさいからとサボっているんじゃないだろうな。司会者もしっかり仕事しろ。私も仕事を……。すまない、黙秘させてもらう。

『ただいま戻ったぞ! オレオレだ! 名前はもう覚えてくれたよな! 俺は詐欺師じゃないからな! むしろ被害者だからな! そして今大会の司会者だ! ……さてお前ら。説明も終わったことだし、そろそろお楽しみの時間といこうではないか!』

『オオオオオオオオォ――――ッ!!!』

『締めとして、もう一回言うぜ! 第六百十三回、《K(斬れ)! Y(焼け)! S(死んでけ)! この世とおさらば魔闘技大会》、開催だァ――――ッ!!』

『オオオオオオオオォ――――ッ!!!』

 さてと、……殺るか。


読んで下さりありがとうございました。2話目も是非読んで下さい。

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