木曜日の消失
木曜日10月なのにまだまだ夏の暑さが残る平日
純也はまだ仕事が見つからないため平日休日の区別もなく、
美幸にはキャラクターグッツのショップのアルバイトを
ちょっと体調不良でという小さい嘘をついて休んでもらいデートをした。
二人は海岸へといった。夏の時に比べたら勿論人は少なくなっていたが
近頃の十月まで続いている夏を残したような暑さを避けようとする人で秋だというのに
人はまだいる方だった。
純也は人ごみが気になっていた。やはり男子たるもの雰囲気を作りたいという気分から
言い換えればあわよくばという気持ちがあるのは無論であるが。
『結婚式場のバイト辞めてすっきりした?』
『うーん・・・・そういえば今度はハンバーガー屋で働くかとか
ワーキングホリデーでオーストラリアにいくのもいいかなとか色々考えている』
『ワーキングホリデーなら30歳までだから行くなら今だよね
私が学生の時オーストラリアに旅行いったらワーホリの人いたよ』
夕日を見ながらのんびりと海岸を歩く二人
『そうだそうだ話しかわるけど俺のおごりでお酒買って海で飲もうよ』
『いいね~人がいない岩場に座って飲もう』
そして二人で岩場で飲みながら純也はいつも以上に話しを続けていた。
『俺は美幸が思っているような男じゃないぞ。
ワンナイトラブしたしへらへらした男だぞ。
美幸とは友達以上恋人未満が今はいいな。
付き合うと気をつかってしまって自分らしく
なれないんだ。』
これ以上何かしてきたらいつ帰ろうかなと思いつつ
美幸はただ話しを聞いていた。
この話しの内容は正直言うとお酒がはいっても
彼女には言わなかったほうがよかったと思われるが・・・・
美幸は気が弱くても大事な所は芯が通っている部分があるため
ワンナイトラブなどと聞き苛立ちを少し隠せなかった。
お酒の勢いもあり苛立ちのあまり何故か美幸は自ら唇を重ねてしまった。
以前のデートでほっぺにキスされたとはいえキスをせず怒ればいいものの
ここが美幸の悪い点である。唇を重ねられてその気にならない男子はいない。
純也は隣に座る美幸のお尻や腰をさわってしまった。
美幸はそろそろ帰る準備かと身構えるが純也はそれ以上は美幸が拒んだためそれ以上は
何もしなかった。美幸はそろそろ男のスイッチとやらを知らないと危ないかもしれない。
いったい今まで何人を生殺ししてきたのかと思いつつ純也は
『かたいんだから』と思わず言ってしまった。
この発言からして純也はやはり軽い男なのかもしれない。
美幸がいけない部分というのもあるが。
そんな出来事があってから美幸は自分の中で今後どうしたらいいのかと
悩みつつな状態でデートが終わり帰宅する。悩みつつといっても楽しく
その後一緒に夕食は食べデートは終わったわけだが。
正直言って美幸がキスしたのは彼女にある性欲が動かされてである。
恋愛とは行きつくところは性的なものだからというのもあるが
純也とキスしてしまい嬉しかった本音の気持ちと共に不透明な気持ちも生まれていた。
『友達以上恋人未満なんて・・・それは都合のいい女ということにはならないか?』
と大声で言ってやればよかったのにとつくづく思いこの想いが美幸の中でどんどん大きくなる。
世の中色々な恋愛があるとはいえいったい自分の存在はなにぞとイライラしていた。
次のデートで何かあったら純也ともう会うことを辞めようと決心した美幸だった。
おいおい美幸さんよ拒否されてから純也はそれ以上何もしなかった
そんな相手ならもう少しだけ信じてもいいんでない。
という意見も聞こえてきそうだが。
そんな意見の方々よご安心を次もまだ純也に会おうと彼女に思わせたのは
純也が正直に自分の考えを酔いつつだが話してくれたからのである。
『なかなか女っていう自分の中の性別かそれとも女脳か
はっきりしないがこの不透明な部分の扱い難しい・・・・・』
考えすぎてそう思った美幸なのだった。