8番目の真実
「先生が・・・先生が少女ををこの学校に連れてきたのですか?」信二が質問したかった事を代わりにソフィーが質問した。大輝が学校に少女を連れてきた・・・だが、少女はどこにいるんだ。
「ああ。もともとこの学校は、研究所として建てる予定だった。だが予定を変更して学校に変えた。」
「学校に変えた?一体誰が?」
「俺だ。俺が設計を依頼し、資金を出した。少女のウイルスをより確実に研究するために。だが、この研究は人目を引くものだった。誰にも注目されずに研究する必要があった。研究所では、周囲の人々に注目されるリスクがあった。だが、研究所以外の何かの施設なら、注目される確率が減る。その結果、学校にした。学校なら、注目もされないし、たとえ生徒の誰かが、この研究を知ってしまって誰かに話しても、本気にされないだろう。」
だが、この話に1つ疑問があった。
「じゃあ、なぜ12年間この学校にいられた?」
「俺は、正式な教師じゃないからな。それに、この学校の校長も事情を知って協力的だよ。」
信二はもう1つ疑問があった。
「どこで、研究してた?それらしい教室は無かったぞ」
「秘密の入り口があってな、地下2階まで続いてる。つまり、研究所はこの教室の地下にある。」
最後の質問をしよう・・・
「資金はどうした?自腹か?それとも誰かが出しているのか?」
「資金は教皇庁が出している。」
教皇だって?ローマ教皇の教皇か?つまり資金はバチカンが出しているのか?
「説得は簡単だったよ。悪魔に取り付かれた人間の状態を調査し研究する絶好の機会だと。原因となる化学物質を特定できれば、解毒剤を開発し、悪魔から人々を救えると」
頭の中が混乱した。悪魔?ウイルス?教皇庁?解毒剤?学校の地下研究所?とにかく、とんでもないことが起きている事だけは、理解できた。
「だが、少女の存在も長くは隠せなかった。ある日、少女は研究室を脱走し学校内を彷徨っていた。それをたまたま見回りの職員が発見したさ。その職員は精神崩壊を起こした。焦った俺は、七不思議の8番目を作って、生徒に吹き込んだ。それが<アイビの呪い>さ。」
「なぜ、アイビ?」
「少女の名前がアイビだったからさ。」
「そして昨日、恐れていた事態が起こった。デモーニョウイルス・タイプ2・タイプ3が何匹かのネズミの体に付着して、ネズミは何人かの生徒に接触した。ネズミに接触された生徒はその時点で感染し、今日発症した。」
そういう事だったのか。全ては、フィリピン人少女「アイビ」が原因だったのか。じゃあ、アイビはこの学校の地下にまだ潜んでいるのか。