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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
35/40

遭遇

信二は再び目覚めた。

場所は相変わらず、見知らぬ部屋だった。

「やはり死んだんだ」

だったらここは天国か?それとも地獄か?

「考えるのはやめよう・・・」

再び眠りに付いた。


 立花は石神の死体から、拳銃を取った。ベルトから予備の2つの弾倉を取った。

「・・・武器は多いほうがいい・・」

広間の奥にまた扉があった。

「行ってみましょう」

だが、先に立花が通った一本道から足音がした。

きっとあの感染者がドアを破って追いかけてきたのだろう・・・。そう思った立花は、拳銃を構えた。

拳銃は重かったが、どうにか構えた。このまま逃げる選択もあったが、後で面倒になりそうだった。

感染者が姿を現した。

その姿を見た瞬間、この広間が凍りついたような感覚になった。

立花にとって、この感染者の姿はアイビよりも恐ろしかった。

「紘輝君・・・?」

紘輝が立っていた。真っ黒に染まった目で立花を見つめていた。

知らなければ良かった・・・待ち伏せなんかしなきゃ良かった・・・立花はそう後悔した。

紘輝は、人間離れした奇声を上げた。開いた口に並ぶ鋭い歯が、もう彼が人間ではないことを物語っていた。

「紘輝君・・・」

自分の名前を言われた紘輝は、立花をじっと見た。襲ってこなかった。

「紘輝君!私を覚えているの?」

紘輝の目から、殺意が無くなるのを立花は感じた。もしかしたら・・・

「紘輝君!私よ!立花よ!」

紘輝は首を傾げた。多少うなり声を出していた。

「紘輝君!わた・・・」

言い終える前に紘輝がわめき声を上げながら、真っ直ぐに立花に向かった。

立花は反射的に銃を撃ったが、反動が強く、頭から大きく外れた。

2発目を撃とうとしたが、紘輝は立花に掴みかかった。

立花は、紘輝の右脚を撃った。弾丸は皮膚を貫き、骨を粉砕した。

紘輝は倒れこんだ。

立花は紘輝の頭を狙った。

「紘輝君!正気に戻って!お願い!」

だが、倒れている紘輝は立花に向かって奇声を上げていた。

「・・・ごめんなさい・・・!」

引き金を引いた。拳銃は火を噴いた。

紘輝の頭から、血と肉片が飛び散った。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

立花は座り込んだ。紘輝は完全に死んでいた。


 「隊長!扉です!」

SAT達は扉の前に立った。

「よし!入ってみよう」

扉を開けてみた。

そこは、沢山の生徒の死体が並んでいた。全員、顔が剥がれていた。

「うっ!」

木馬は吐き気に襲われた。

「奥に扉がある・・・行こう」

3人は奥の扉まで進んだ。

「入ろう」

信一は扉を開けた。

中は、3つの扉があった。

「丁度3人・・・俺は真ん中、木馬は左、相沢は右に進もう」

3人は、それぞれの扉を開けて、中に入った。


 物音に気づいた信二は目を覚ました。部屋の真ん中に誰か3人が立っていた。

「目を覚ましたか・・・信二君」

信二は声の主を見た。

「野村さん!」

野村が拳銃を持って立っていた。その後ろにソフィーと山田が縛られて、口にガムテープをつけられていた。

「2人とも!」

「おっと来ないでくれ!」

野村は2人に銃を向けた。

「来たら2人の命はないぞ」

畜生!何が起きてるんだ!

信二はゆっくりベッドから降りた。

2つ分かったことがある。1つは俺は死んでない。2つ目は野村が裏切り者だな!

「何がしたい!?」

「ファイルをよこせ」

野村はそう答えた。

「ファイルって何のファイルだ?」

「山田君が君が持っていると言った」

山田め!

「持ってないぞ」

「じゃあ2人は殺そう」

「待て!待ってくれ・・・」

信二は自分のブレザーの懐を触ってみた。確かにファイルはある。

「なぜファイルが欲しい?」

「ワクチンの製造方法が書かれているはずだ」

「なかったぞ」

「嘘だ!」

野村は拳銃を構えた。その時、野村の後ろのドアが開いた。

「野村博士!何を!?」

木馬だった。

「邪魔だ。失せろ」

野村は拳銃を撃った。弾丸は木馬の胸の真ん中に当たった。

「防弾ベストはつけてなかったようだな」

木馬は倒れた。

「お前!どうしてそこまでしてワクチンを作りたい!?」信二は質問した。

「ウイルスとワクチンを売るのさ」

「どこに?」

「欲しがる奴にさ」

「どうしてワクチンまで?」

野村は頭を掻き毟った。

「ウイルスとワクチンは常にセットでなければ高額で売りつけられない」

狂気の沙汰だ!

「金持ちになりたいのか?」

「そうだとも」

信二の後ろに扉があった。そこへ逃げよう!だけどそうしたら2人は死ぬ。

その時、後ろの扉が開いた。

「野村博士!」

水谷と信一だった。

水谷は、木馬の死体を見た。

「糞野朗!木馬を殺したな!」

2人は短機関銃を構えた。

「待て!今すぐに下ろせ!このガキ2人を殺すぞ!」

水谷達は、ソフィーと山田を見て短機関銃を下ろした。

「ゆっくりと銃を床に置け」

2人は言われたとおりにした。

「銃をこちらに蹴れ」

2人は短機関銃を蹴り飛ばした。

「そうだとも。そうだ。さあ信二君、ファイルをよこせ」

信二は言われたとおりにファイルを渡した。

「ありがとう・・・もう子供達には用が無くなった」

野村は2人に拳銃を向けた。

「やめろ!」

2発の銃声が鳴り響いた。

ソフィーも山田も無傷だった。

野村が倒れた。両足脚にドングリサイズの穴があった。

立花だった。立花が野村の足を撃ったのだった。

「糞!」

野村は拳銃を立花に向けたが、立花は野村の右肩を撃った。

「ぐあっ!」

野村は拳銃を落とした。水谷と信一はすぐに短機関銃を拾い、野村に構えた。

信二と立花はソフィーと山田の縄を解き始めた。

「いつから拳銃が使えた?」

「聞かないで」

2人は2人のガムテープを剥がした。

「野村博士。あなたを逮捕する」

水谷は手錠を野村につけた。


 だがその時、天井から何かが飛び掛ってきた。全員、反射的に避けたが、野村は何かに掴まれた。

アイビだった。素顔を露出している。素顔は骸骨のようだった。

「助けてくれ!」

アイビは野村を掴み上げて、暖炉に投げた。野村の全身が燃え出した。ファイルと共に・・・

「撃て!撃て!」

水谷と信一は短機関銃を連射した。だが、アイビはいくら撃たれても死ななかった。

アイビは信二に飛び掛った。信二はソフィーを庇った。その時、信二とソフィーの床が抜けた。

2人は落ちた。アイビは抜けた床に入った。

「信二!」

信一は部屋を見渡した。ベッドの横に階段があった。

「助けに行こう!」



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