闇
エレベーターの扉が開いた。
そこは、真っ暗な空間だった。
全員、フラッシュライトと懐中電灯を点けた。
ライトの光だけが、頼りだった。
「子供達はエレベーターに残れ」
水谷はそう指示した。
「百合、お前も残れ。子供達を頼む」
そう言って男達は行った。
「行っちゃったね」
山田は呟いた。
「後は男達に任せましょう」
百合は言った。
ソフィーはずっと下を向いて泣いている。立花は放心状態だ。山田は顔には出してないが、心では泣いている。
まったく酷いものね。百合はそう思った。
すると、暗闇から音がした。
「先生、ちょっと見てくるね」
百合は、懐中電灯とバットを持って、闇の中へと消えた。
3分以上が経過した。
「先生・・・遅いわね」
放心状態から戻った立花が言った。
「確かにね」山田はそう答えた。
「ちょっと、行って来る」
立花は、懐中電灯を持って闇に入った。
立花は、懐中電灯の光を頼りにまっすぐ進んだ。
しかし本当に暗いわね。
光から、特殊な装置や医療器具が見えた。恐らく研究室ね。
立花の手には信二の物だったバールがあった。
途中で何かにつまずいて転んだ。
「痛っ」
立花は、つまずかせたものを懐中電灯で照らした。
その瞬間、吐き気が襲った。
百合の死体だった。
喉笛を食いちぎられていた。
立花は後ろから、気配を感じた。
勇気を振り絞って後ろを振り返りバールを構えた。
だが、すぐに戦意喪失した。
「あなたは・・・!」
水谷達は、暗闇を進んでいた。
「全員待ってください!」野村が叫んだ。
「どうした?」
「音がしました」
全員、銃を構えた。
「どこからした?」
しばらく沈黙がした。
「私は見てきます。先に進んでください」
野村はそう言って、どこかへ消えた。
「仕方ない。先へ進むぞ」
SAT達は、大輝に誘導された。
エレベーターの山田は、不安に感じた。
百合に続いて立花も戻ってこない。ソフィーは相変わらず泣いている。
「大丈夫だよ」
山田は慰めた。
だが、山田が何かに殴られた。
山田の意識が飛んだ。
ソフィーも、山田と同じ状況に陥った。




