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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
30/40

遭遇

美術室から出た信二達は、階段から降りてくる立花を見つけた。

立花は泣いていた。

「どうした?立花?」

「紘輝君が・・・」

まさか!

「彼が・・・」

「感染した?」

立花はうなずいた。

まさか・・・あいつが・・・俺の唯一の親友が・・・

「紘輝君・・・」

ソフィーはこの事実に大きなショックを受けた。

信二に限っては、事実を受け止められなかった。

「あいつが感染するはずない!」

「真実よ。受け止めなさい」

百合は言った。

「それに、一番つらいのは、あなたでなく、一緒にいた立花さんよ」

信二は、落ち着けと自分に言い聞かせた。

だが

「くそ!くそ!くそったれええええ!」

と言いながら、美術室の扉を蹴りまくった。

「鳥円、海咲に続いて今度は紘輝か!一体何人犠牲にする気だ!神は!」

「おーい」

中村が来た。

「おい!美術室に居た生存者は?」

「栗山のうんこったれのせいで行方不明」

「そうか・・・」

すると、階段から奇声が聞こえた。

栗山仁が、這いずりながら階段を降りてきた。

「あの、世界で最低の糞が!!」

信二は、這いずる栗山に駆け寄った。

「てめーのせいで!」

バールで背中を殴った。

「海咲が!」

もう一発殴った。

「紘輝が!」

さらに殴った。

「どうしてくれるんだ!!」

信二は無茶苦茶に殴った。

栗山は、殴られるたびに苦痛のわめき声をあげた。

気が付いたら、栗山の体は原型を留めてなかった。

「はあ・・・はあ・・・」

信二は怒りは沈まなかった。

渡り廊下から、走る足音がいた。

信二と中村は武器を構えた。

だが、ライトの光が3つ見えた。

「生存者か?」

光が近づいてくる。

「隊長!人です!」

3人の正体が分かった。

SATだ。信一とほぼ同じ格好をしている。

「君達、感染してないか?」

全員、うなずいた。

「よし・・・分かった」

3人は銃を下ろした。

階段の上から足音がした。

SAT3人は銃を構えた。

信一だった。

「お前は誰だ?」

「相沢信一。屋上狙撃手だ。」

「なぜ校内に居る?」

「ヘリコプターが墜落してきてな、危機感を感じてとっさに校内に避難した。」

4人とも銃を下ろした。

「まあいい。戦力になる」

すると、渡り廊下から、感染者の軍勢が来た。

「早く美術室の中へ!」

全員、美術室に入り扉を閉め、鍵を掛けた。

扉を叩く音がした。

「あ・・・あの・・・皆さんはなぜ校内に居るんですか?」

ソフィーが訊ねた。

「野村博士の護衛で来た。アイビという女性を探しに来た。もっとも博士は行方不明だが」

アイビ・・・やはり大輝の言っていたことは本当だったのか。

「俺は水谷、隊長だ。隣は石神、副隊長だ。その隣は木馬、新人だ」

新人とは頼りない。

「それより少年を探してる。」

「どんな特徴だ?」

「小柄で、めがねを掛けている、いかにもオタクって感じの少年だ」

鳥円か!

「その少年は試験管を持っている。その試験管はとても大事で、それがないと、外に出られない」

「じゃあ。捜索しよう。」

感染者はもう、扉を叩いてない。

扉を開けた瞬間、誰か立っていた。

「野田!」

「連中は突然北校舎へ走って行ったぞ」

急に?なぜだろう?

「とにかく、生存者は多いほうがいい。」

水谷はそう言った。

「体勢を整うよう。俺と石神は先頭に立つ。木馬と相沢は後尾に立て。」

SAT以外の人は、SATの真ん中に立った。

「まずはこの校舎を捜索しよう。」

信二達は、階段を駆け上がり始めた。

 3階

3階の階段の手前にパソコン室があった。

「まずは、この部屋からだ」

石神がドアを開けようとした。

「鍵が掛かってます」

「できるか?」

「単純な鍵穴ですね。できます」

石神がキーピックで鍵を開け始めた。

「この間は警戒態勢だ。」

「もう開きました」

「早いな」

パソコン室に入った。

隊員達と中村が、ライトで部屋中を見渡した。

「パソコン以外何もありませんね」

その瞬間、上の階から音楽が鳴り響いた。

「あの曲は<エール>ですね」

「ああ。いきものがかりの・・・じゃなくて止めて来い」

「なぜです?」

「あの音楽を聴きつけて感染者が集まってくるかもしれん」

「俺が行きます」

石神が階段を駆け上がった。


「石神、どうだ?」

『音楽室があります。変ですね。扉が開いてます』

「音楽はどこからだ?」

『音楽室です』

「消せ」

『パーティーの最中かも』

音楽が止まった。

『ひき・・・』

「どうした?」

『またあの<化け物>だ!』

「今すぐに行く!」

水谷は、全員を連れて音楽室に向かった。

石神は、廊下に出ていて音楽室の扉を閉めた。

「石神!<化け物>は?」

「音楽室に閉じ込めた!」

「木馬、相沢来い!」

水谷、木馬が短機関銃で、信一が狙撃銃で扉の前で構えた。

「石神、開けろ」

石神はゆっくり扉を開けた。

「突入する!後に続け」

水谷、木馬、信一の順に音楽室に入った。

『石神、何も居ないぞ』

「そんな馬鹿な!」

石神も入った。

信二達も気になって入った。

「確かに中にいたはずだ!」

「でも居ないぞ」

信二は状況を掴めなかった。石神が音楽室で<化け物>を見つけて、音楽室に閉じ込めた。

だが、その<化け物>は居なかった。

「アレは幻覚じゃなった。」

「でも居ないぞ」

「じゃあ、幽霊を見たとでも言うのですか!?」

「もしくはゴキブリのように逃げたか」

野田は、質問した

「お兄さん達。その<化け物>は何なんだ?」

石神が説明した。

「顔は、分からん。布切れみたいなのを被っている。手は拘束具をつけていた。片足は鎖をつけていた」

「じゃあ、<化け物>はまだ教室内にいるじゃない」

言い終わると同時に野田が空中に浮かんだ。

野田が天井に居る<化け物>に連れ去られた。

「くそ!撃て!」

<化け物>は野田を連れて、天井を這いながら音楽室を出た。

「本当にゴキブリみたいな奴だ!!天井を這うなんて!」

信二は信じられなかった。

一瞬で野田を連れ去りやがった。しかも天井を這うなんて!

廊下から、感染者の軍団がやって来た。

「扉を閉めろ!」

木馬は扉を閉めて鍵を掛けた。

本当にこの学校に何が起きたんだ?


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